環境マネジメントシステム(ISO14001)のサーベイランス審査

環境マネジメントシステム ISO14001規格では,「組織のマネジメントシステムの一部で,環境方針を策定し,実施し,環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されている。ISO14001 環境に関する国際規格の一つ。
国際規格(ISO:International Organization for Standardization)として1996年にISO14001規格が制定され,日本でもJIS Q14001として国内規格に採択された。2015年9月に改訂され,認証を維持するためには,3年以内に改訂された規格での認証を受ける必要がある。
)のサーベイランス(維持審査)

 平成30年10月2日,3日の2日間,本学が運用している環境マネジメントシステムが,ISO14001の2015年版の規格要求事項に適合しながら自ら定めた取り決めに従い有効に運用されているか,組織の方針・目標を達成する能力を有しているかを確認するためサーベイランス審査が行われました。

維持審査日時 平成30年10月2日,3日
審査登録範囲 上浜キャンパス(附属病院を除く)における教育,研究および社会貢献活動業務運営
審査機関 SGSジャパン株式会社
維持審査日時 以下を含むマネジメントシステムの審査基準への適合を確認
  • 適用される法令,規制および契約上の要求事項を満たすことを確実にする能力
  • 組織が特定した目的を達成することを合理的に期待できることを確実にするための有効性および,該当する場合,潜在的な改善の領域を特定すること
  • 学長インタビュー(H30.10.03)

サーベイランスの結果

 審査結果では,環境マネジメントシステム展開などが有効に働いていることを確認され認証登録が継続されました。審査の総合的所見では「不適合は発見されなかった」と評価コメントがありました。

  • 現場審査,生活排水処理施設の確認(H30.10.02)

  • 現場審査,工学研究科の研究(H30.10.03)

観察事項

 サーベイランスの結果に関して,不適合はありませんでしたが,次の観察事項がありました。
 ※観察事項:是正に繋がる事項としてあげられ,推奨事項のことを言うが是正義務はない項目。

改善の機会

1.運用の計画および管理(8.1)
「サイトツアーにて観察された以下の点について改善の余地があります。 平成29年10月1日に廃掃法が改定された水銀使用製品の産業廃棄物について法定の60×60 の表示への明記について。 産業廃棄物置場(工学部)において,金属切削くずがガラス・蛍光灯・廃家電の置場に置いてあり,改善の余地があります。一方その理由として,金属屑の置場がいっぱいになっているとのことでしたが,スペースの効率的な使用のために特に一斗缶の廃棄方法を工夫することについて改善の余地があります」と提案がありました。
  • 産業廃棄物置場の確認

2.リスクおよび機会への取り組み(6.1)
「規格では,環境マネジメントシステムが意図した成果を達成できるという確信を持つために取り組む必要がある内外の課題に対するリスク・機会も特定して取り組みを検討することを要求しております。(例えばBCP で取り組まれているようなリスクや,目標管理や緊急事態に関連する気候変動などのリスクなど)」と提案がありました。
3.監視,測定,分析および評価 一般(9.1.1)
「フロン排出抑制法への対応として各環境責任者が該当する製品の外観確認など「簡易点検」を3ヵ月に1回実施することとなっており,生物資源学部・生命機能科学講座では「フロン使用チェック対象一覧」を用いチェックを実施されておりましたが,問題ない製品の記録の欄はブランクとなっておりました。問題ない場合の記録方法について検討されることが望まれます」と提案がありました。
4.運用の計画および管理(8.1)
「地域イノベーション学研究科の5階に,平成29年10月に異動された先生が使われていた-80℃の冷凍冷蔵庫があり,今日時点でまだ運転されておりましたが,何が入っているか分からない状態になっておりました。また,点検表も平成29年10月以降記録が行われておりませんでした。異動後の先生の設備管理方法に改善の余地があります」と提案がありました。
  • 地域イノベーション学研究科の現場確認(H30.10.03)

5.内部コミュニケーション(7.4.2)
「環境ISO 学生委員会は1,2 年生の在籍数が最低20名程度以上でないと円滑な活動に支障をきたすとのことですが,今年度の新入生の入会数は5名で例年より半減しております。当委員会を円滑に運営していくため,如何にして新入生等に当委員会の魅力を訴え,入会者数を維持・増大させていくのか,工夫することが望まれます。あわせて,当委員会が一般学生からどのように評価されているのか,アンケートを取るなどして検討する余地があります」と提案がありました。
6.リスクおよび機会への取組み 一般(6.1)
「環境報告書によれば,医学部や工学部などで実験用に使われるジクロロメタン(別名 塩化メチレン)が年々増加傾向にあります。用途は実験時の洗浄などが推測されますが,環境負荷 環境に与えるマイナスの影響を指します。環境負荷には,人為的に発生するもの(廃棄物,公害,土地開発,戦争,人口増加など)と,自然的に発生するもの(気象,地震,火山など)がある。化学物質でもあり,人体にも有害で漏洩時の土壌汚染や水質汚染リスクにもつながりますので,実験に支障をきたさない範囲で代替物質の発掘を今後,検討する余地があります」と提案がありました。。
7.運用の計画および管理(8.1)
「情報工学系の建物内サイトツアー時に,ペットボトル廃棄用分別ボックス上部にペットボトルのラベルおよびキャップを外したうえでボックスに捨てるようにとの図示入りの分かり易い分別表示がありました。廃棄されていたペットボトル5個のうち4個がラベルおよびキャップをはがさないままで捨てられていましたが,分別ルール順守の徹底が望まれます」と提案がありました。
  • ペットボトル廃棄用分別ボックスの確認(H30.10.03)

Good point

肯定的観察事項(良かった点)

1.大学全体
「日頃の環境活動が評価され,環境コミュニケーション大賞5年連続9回受賞をはじめ多くの賞を受賞されていることは特筆に値します」と評価されました。
2.統括環境責任者/環境内部監査 組織の環境管理に関する活動に関して,環境方針や環境目的などに合った活動をしているかどうかを,自ら確認する監査システムのこと。責任者
「内部監査結果報告書のコメント事項の欄にGood Point や今後の改善方向について議論された内容などが記録されておりました。各部局での効果的な活動が評価され,またさらに良い活動に結び付く効果的な監査が実施されており,特筆に値します。」と評価されました。
  • 総括環境責任者の確認(H30.10.02)

3.地域イノベーション学研究科
「地域イノベーション学研究科では,研究テーマごとに,環境問題・省エネルギー・廃棄物削減・環境意識改善などに関する事項に関して,目的目標(P)/実施計画(D)/評価結果(C)/改善計画(A)を「プロジェクトマネジメントの素養に関する調査書」に記載し報告することとなっており,環境の視点でPDCA を回す効果的な仕組みを取り入れていることは特筆に値します」と評価されました。
4.施設部/国際環境教育研究センター
「廃水処理施設の処理水のリン成分(T-P)が伊勢湾の総量規制値を超過する事象が平成28 年6 月頃に数日間ありましたが,行政に適切に届けておられました。また,環境報告書2017 年度版にその超過事象が適切に公表されていました。環境に関する不具合情報にもかかわらず,情報開示が適切に実施されており,この真摯な取り組み姿勢は第三者から見ても,信頼に値するものであり,高く評価できます」と評価されました。

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