編集後記「三重大学環境・SDGs報告書2024」の作成にあたって

 「三重大学環境・SDGs報告書2024」は、本学の環境とSDGsの取り組みの充実を図り、さらに積極的に内外へ公表するために、令和3年度から従来の環境報告書から環境・SDGs報告書に名称を変更し、令和6年度で4年目になります。
 本学は、自然と調和した持続可能な地域社会の実現に向けて、教育・研究・社会貢献活動を推進している環境先進大学です。これまで、本学は環境先進大学として環境・SDGsマネジメントシステムの推進、科学的地域環境人材(SciLets:サイレッツ)育成事業の実施、大学キャンパスの省エネ活動、産業界や地域自治体との協働など、さまざまな環境活動に取り組んできました。
 環境問題のなかで特に気候変動問題は、現在では「地球危機」と形容され、我々一人ひとりや地球上のあらゆる生物にとって回避できない喫緊の課題となっています。2023年に開催された「第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)」において、成果として採択された決定文書では、再生可能エネルギー(再エネ)について、「2030年までに発電容量を世界全体で3倍にする」という目標が掲げられました。「電源(電気をつくる方法)」における再エネの比率を示した「電源構成比」では、2011年度は10.4%でありましたが、2022年度には21.7%と倍以上になりました。2030年度の電源構成を示した「エネルギーミックス」の目標値では、再エネ比率は36〜38%であり、今後ますます環境やエネルギー分野に注目が集まっていくと思います。このような状況下で、カーボンニュートラルに資する取り組みを加速していくために、本学は知の拠点として、また次世代の環境人材育成のプラットホームとしての役割を果たし、これに基づき、環境・SDGs報告書を公表いたします。
 第1章は、本学の概要を掲載しています。
 第2章は、「特集」として、7月に開催された「環境ラウンドテーブル・ディスカッション」(テーマ:三重大学開学75周年 時を超えてこれからの環境・SDGsを考える)を掲載しています。令和6年は本学の開学75周年にあたるため、これまでの環境の取り組みを振り返りつつ、身近な視点から環境とSDGsを議論しました。また、ダイバーシティや防災減災の視点からも、現在と今後の環境を議論しました。今回の座談会では、教員、学生、留学生が参加し、さまざまな立場からいろいろな意見が述べられました。さらに、大学の活動(ブルーカーボンの取り組み)、卒業生の活動、学生の活動、トピックスを掲載しています。
 第3章は、環境・SDGs学生プラットホーム、教職員の社会貢献活動、地域連携活動、附属学校の活動(幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校)を報告しています。
 第4章は、「スマートキャンパス」として、本学のエネルギーマネジメントビジョンやカーボンニュートラルに向けた取り組みを紹介しています。
 第5章は、「環境・SDGs教育」として、環境・SDGs関連の地球環境センター開講科目や全学共通教育センターの関連科目、環境インターンシップの実施を紹介しています。
 第6章は、「環境・SDGs研究」として、各学部・研究科の教職員の環境・SDGs関連の研究内容を掲載しています。
 第7章は、「環境関連の取り組みと評価」として、地球温暖化防止活動、化学薬品管理システムの導入、省エネルギー体制と対策を報告しています。
 第8章は、「マネジメントシステム」として、環境・SDGsマネジメントシステムの概要や、持続可能な社会の実現に向けた事業者の事業戦略などを掲載しています。
 第9章は、「第三者評価」として、本学と中部電力株式会社との相互評価内容を掲載しています。
 地球環境センターは、大学の環境・SDGs活動に関する総括だけでなく、常に、学内外、国内外のステークホルダーとのパートナーシップによって、本学の社会的責任を果たし、カーボンニュートラルに資する地域の共通価値の創造に貢献できる機関として、邁進していきます。「三重大学環境・SDGs報告書2024」をお読みいただき、忌憚のないご意見をいただけますよう、宜しくお願い申し上げます。



 令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、激しい地震の揺れによる多くの家屋などの倒壊や輪島朝市の大規模な火災、海岸線の隆起のほか、道路網の寸断による孤立集落の発生など、多くの被害をもたらしました。
 改めて地域防災を考えるとき、私たちは災害を起こす元となる地震や津波などの自然現象のみならず、それに備える対応力やコミュニティの在り方など、社会環境的な側面にも目を向けるべきでしょう。そして、その社会環境のなかには物理的および社会的な脆弱性といった地域の持つ弱さも含まれています。
 防災についての備えという言葉には「もの」と「意識」の両面があります。そして自分自身で備えること以外にも地域や職場などでともに備えることや行政など公的な機関が備えることなどさまざまです。
 私たちはまずは身近な環境について関心や興味を持ち、防災についての考えを巡らせ、今できることを自分自身のこととして、備えていくことが大事ではないでしょうか。
 さて、本学では平成18年度から令和2年度の「環境報告書」、そして令和3年度より「環境・SDGs報告書」となり、合わせて令和6年で19回目の発行となりました。令和6年度は手に取っていただいたときの読みやすさなどを考え、記事の構成などの見直しを行いました。
 この度は、さらなる進化を遂げた令和6年度の「三重大学環境・SDGs報告書2024」をご拝読いただき、誠にありがとうございました。
 最後になりましたが、本報告書の作成にあたり、ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。


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