編集後記「三重大学環境・SDGs報告2025」の作成にあたって

 本学は、環境先進大学として大学キャンパスの地球温暖化防止活動、『科学的地域環境人材(SciLets『科学的地域環境人材(SciLets:サイレッツ)』育成事業は、地域の環境問題から地球規模の環境問題まで、オンラインで学術的に学ぶ、『環境リカレント教育システム』のこと。さらに、SDGsについても学ぶことができる。また、インターネットを通じ、自宅や職場など場所を選ばずビデオ講義を受けることができ、学習の証として三重大学が認定する科学的地域環境人材アナリスト/エキスパートの認定が得られる。:サイレッツ)』育成事業(https://scienv.mie-u.ac.jp/intro/)の実施、環境・SDGsマネジメントシステムの推進、産業界や地域自治体との協働など、さまざまな環境活動に取り組んでいます。今日では、地球的な規模から地域的な規模まで、環境問題に対応するための活動も多様化し、本学の環境活動においても変革が求められるようになってきました。
 このような状況の下、本学の令和6年度からの主な活動を挙げます。
 まず、令和6年10月19日をもってISO14001環境に関する国際規格の一つ。
国際規格(ISO:International Organization for Standardization)として1996年にISO14001規格が制定され、日本でもJIS Q14001として国内規格に採択された。2015年9月に改訂され、認証を維持するためには、3年以内に改訂された規格での認証を受ける必要がある。
の認証を自主返上しました。本学は、平成19年に全国立大学初の取り組みとして、ISO14001を全学部一括認証取得し、継続的な見直しによる改善を図りながら環境マネジメントの全学的な普及に向け取り組んできました。17年にわたり環境・SDGsマネジメントシステムの運用が学内に浸透し、環境問題に対する本学構成員の意識の定着が十分に図られたことから、自主返上しました。
 第2に、カーボンニュートラル2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言。「排出を全体としてゼロ」というのは、CO₂をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味している。の実現に向けて具体的に行動するため、令和6年11月に「2050カーボンニュートラルに向けた取組計画」を策定しました。この計画では、カーボンニュートラルを達成するために本学が取り組むべき計画を示すとともに、課題を地域社会や学内において共有するものです。地域共創大学として、カーボンニュートラルに資する人材育成やイノベーション創出という役割を果たし、カーボンニュートラル達成に向けて取り組んでいきます。
 第3に、地球環境センターの活動部門の一つである「研究部門」が、新たに「環境関連の研究活動を行う部門」として出発することになりました。従来この部門では本学の研究活動を紹介することを主としていましたが、さらに発展させて「ブルーカーボン2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示。ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれる。 分野」と「グリーンカーボングリーンカーボンとは、森林や草原などの陸上生態系が光合成によって大気中のCO₂を吸収し、その炭素を樹木や土壌などに蓄える仕組み、またはそこに蓄えられた炭素のこと。分野」から構成される「研究部門」とし、学内の関連教員による研究活動が進められます。
 第4に、従来行われていました「環境座談会」に代わり、令和7年7月に「mini環境まつり」を開催しました。本学では、学生の環境マインドの育成を目的に、令和6年度から新入生を対象に共通教育授業で「科学的地域環境概論Ⅰ/Ⅱ」を開講しています。机上の学修の次のステップとして、環境関連技術や製品を見て、触って体験してもらうことを目的に開催しました。
 最後に、令和6年10月のISO14001の返上に合わせて、学生が主体となり活動してきた「環境ISO学生委員会」を、「Eco Green Campus学生委員会」に改組しました。環境・SDGsマネジメントシステムを基に、キャンパス内外でさまざまな環境活動を行い、持続可能な未来に向けた取り組みを推進していくことを期待しています。
 今後、地球温暖化や異常気象など、環境問題への関心がますます高まっていくと思われます。このような状況の下、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに資する取り組みを加速していくために、本学は知の拠点として、また次世代の環境人材育成のプラットフォーム物やサービスを利用する人と、提供者をつなぐ場のこと。 としての役割を果たし、これに基づき、環境・SDGs報告書を公表いたします。

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