附属特別支援学校の取り組み

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 12 つくる責任つかう責任

自然環境にやさしい作業学習の取り組み

 附属特別支援学校では、知的障害のある子供たちを対象とした特別支援学校として、日々の学びの中に自然や環境とふれあう機会を多く取り入れています。子供たちが体験を通して「できた」「分かった」「つながった」と実感できるように、身近な素材や活動から環境への関心を広げ、持続可能な社会づくりへの第一歩を踏み出す力を育てています。

小学部:身近な「リサイクル」や「育てる活動」から自然を学ぶ

 小学部では、給食で飲んだあとの牛乳パックをきれいに洗ってリサイクルに出す活動に取り組んでいます。自分が使ったものを「資源」としてもう一度生かすという経験を通して、「ごみではなく、もう一度使える大切なもの」という考え方を体験的に身に付けています。
 また、学校のプランターや畑では、パンジーやチューリップなどの花の栽培、サツマイモやトマトなどの野菜の栽培を行い、水やり・草取り・収穫といった活動を通して、植物の成長や自然のサイクルへの興味を育んでいます。
 季節の変化とともに育つ植物を日々観察することで、「いのちを大切にする気持ち」や「自然とともに生きる感覚」が、子供たちの中に少しずつ育まれていくことを願っています。

  • パンジー栽培(R7.4.15)

    パンジー栽培(R7.4.15)

  • ジャガイモ栽培(R7.4.18)

    ジャガイモ栽培(R7.4.18)

  • 牛乳パック(R7.5.13)

    牛乳パック(R7.5.13)

中学部:身近な素材からはじめる「つくる体験」

 中学部では、包装紙や画用紙の端材を活用して「ペーパーボックス」や「油吸い取りパッド」を製作しています。不要な素材に手を加えることで、見た目や使い心地のよい製品へと生まれ変わらせる体験は、「工夫して使う」「捨てずに活かす」ことへの気付きを生むと考えます。
 製作した製品は学校祭で保護者に販売し、「自分たちが作ったものが誰かの役に立つ」という社会とのつながりを実感する機会につなげています。相手意識を持って一つひとつの作業を丁寧に行うことで、作業に対する集中力や達成感を高め、社会で生きる力を育んでいます。

  • 飲料パック裁断(R7.5.8)

    飲料パック裁断(R7.5.8)

  • ペーパーボックス(R7.5.15)

    ペーパーボックス(R7.5.15)

  • 学校祭製品販売(R7.11.2)

    学校祭製品販売(R7.11.2)

高等部:環境にやさしい紙工芸の実践

 高等部では、使用済みの牛乳パックを原材料にした紙工芸活動を行っています。パックのコーティングをはがして細かく裂き、ミキサーでゾル状にしてから紙すき、乾燥、圧縮といった工程を通して、手作りの温かみのある再生紙としてよみがえらせています。
 このような再生プロセスを体験的に学ぶことで、「ものを大切にする」「環境に負荷をかけない工夫をする」といった意識が自然と育まれるよう取り組んでいます。令和7年度は、この再生紙を用いて例年製作している「はがき」「しおり」「メモ帳」などのほか、新たに「祝箸袋」「クラフトシール」も製作し、用途の広がりを楽しみながら活動の幅を広げています。

  • 祝箸袋製作行程(R6.9.10)

    祝箸袋製作行程(R6.9.10)

  • 紙すき工程(R7.1.22)

    紙すき工程(R7.1.22)

  • ミキサー工程(R7.4.30)

    ミキサー工程(R7.4.30)

高等部:「いちごハウス」での高設栽培と“いいものをつくる”意識の芽生え

 農園芸活動では、令和6年度より「いちごハウス」での高設栽培に新たに取り組んでいます。苗の植え付け、育成管理、収穫、パッキング、出荷までの一連の作業を通して、子供たちは植物の育ちを間近に感じながら、手間をかけて育てる大切さや責任感を学んでいます。
 とくに、市場に出荷できる品質を目指す作業では、「どうしたら良いいちごを提供できるか」を自ら考え、丁寧に作業する姿が見られるようになりました。こうした経験は、“良いものをつくる”という意識の高まりにつながり、教育的効果の大きな取り組みとなっています。
 また、従来から取り組んでいる腐葉土づくりや、玉ねぎ・大根・にんにくなどの野菜の露地栽培では、自然の循環や育てることの喜びを実感しながら、作業を仲間と分担して協力し合う力も養っています。

  • いちごハウス(R6.11.16)

    いちごハウス(R6.11.16)

  • イオンタウン津城山店販売(R7.1.28)

    イオンタウン津城山店販売(R7.1.28)

  • 津駅ビルチャム販売(R7.2.20)

    津駅ビルチャム販売(R7.2.20)

環境教育を“体験”として伝えるために

 本校では、「見て、ふれて、つくって、感じる」ことを大切にしながら、子供たちが実感をもって環境や資源の大切さに気付けるような教育を心がけています。日常の中にある素材や自然の恵みを活用した作業学習は、特別支援教育における環境学習のあり方として大きな意味を持っています。
 これからも、子供たち一人ひとりが自然とのつながりを感じ、「自然や資源を大切にしたい」という気持ちを育んでいけるような取り組みを続けていきます。

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