学長メッセージ
私たち三重大学は、
持続可能な未来に向けて変化し続けます。────
近年、気候変動の影響による大雨や猛暑が頻発しています。令和7年度の日本も例年に増して厳しい夏となり、全国各地で猛暑日が続きました。地球温暖化を通り越して「地球沸騰化」とまで言われる状況です。CO₂の排出を減らすために再生可能エネルギーの導入は進んでいますが、一方で洋上風力発電事業から企業が撤退するなど、解決すべき課題はなお多く残されています。世界に目を向けると、国ごとに環境問題への取り組み方はさまざまであり、地域の事情や政策の違いが大きく影響しています。その中でも、令和6年11月にはアゼルバイジャンで国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)が開かれ、持続可能な社会の実現に向けて、世界全体での協力の必要性がこれまで以上に強調されました。
本学でも環境問題への対応を重要なテーマと考え、活動の強化や地域との連携に力を入れています。たとえば、学生が中心となって行う近隣の海岸清掃活動は、地域社会とのつながりを深める大きな成果です。また、社会人を対象とした学び直し教育(リカレント教育)にも環境分野を取り入れ、『科学的地域環境人材(SciLets:サイレッツ)』育成事業は多くの関心を集めています。さらに、スマートキャンパス事業など、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)をめざす取り組みも高く評価されています。しかし、気候の変化だけでなく社会の変化も大きい今、過去の実績に満足して同じことを繰り返すだけでは、地域に必要とされる大学であり続けることはできません。私たちは今まさに、変わるべき時を迎えていると考えています。
世界的にも、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った活動はますます重要になっています。その理念を一人ひとりが自分ごととして捉え、行動に移すことが求められています。本学では令和7年度から共通教育課程に必修の環境教育プログラムを新設し、研究の強化や地域との協力を通じた実践的な取り組みを進めています。これからの予測困難な時代に向けて、三重大学は持続可能な未来を築くために、皆さんと共に責任を果たし、変化し続けていきます。
