環境ラウンドテーブル・ディスカッション(防災の視点から考える環境とSDGs)

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任つかう責任
水木

今日は防災についてお話しします。半年前の1月1日に石川県を震源とする能登半島地震が発生しました。地震後、避難所では多くの人が雑魚寝をしており、環境が非常に悪いとの報告がありました。感染症の流行も懸念され、1月末に現地を訪れました。
避難所ではダンボールベッドが設置されていましたが、体育館以外ではパーテーションや仕切りがないところが多く見受けられました。現地で支援にあたっている方々によると、資材はあるが、余震や水の供給が不安定な状況で、隣の人が見えないと不安になるため、仕切りを設けないでほしいという要望があるとのことでした。私は3年間、県内市町を回り、避難所のアセスメント事業を行いました。感染症対策やプライバシー保護のために、避難所に間仕切りやパーテーションを設置することが重要だと考えています。しかし、現地の方々の意見を聞いて、備えの重要性と難しさを再認識しました。備えは一概に言えず、個々の状況やフェーズによって異なります。避難所では、感染症の流行やプライバシーの問題が懸念されています。声が大きい方の意見だけでなく、仕切りが必要だと感じる方もいるかも知れません。相談しやすい窓口や雰囲気を整え、必要に応じて別の部屋を設けたり、間仕切りを設置するなどの対応が求められます。特に高齢者、障害者、外国人、妊婦や赤ちゃんなどの特別な配慮が必要な人々に対して、情報収集や伝達が課題となります。視覚や聴覚に障害がある人々には、紙の掲示や音声アナウンスだけでは不十分です。また、外国人に対しては、英語以外の言語での情報提供が必要な場合もあります。女性目線の設備・備品に関する問題も解消されていません。増加する在留外国人にも影響を及ぼす自然災害に対して、地域でどのような対策を取り入れるべきかが課題です。私たち個人でできる備えとして、物資の準備が重要です。避難所には全ての必要なものが揃っているわけではないため、一次持ち出し品(3日分)や家庭での備蓄品を用意する必要があります。また、外出先で被災する可能性も考慮し、携帯できるサイズの必要品も準備しておくことが大切です。避難所は地域の人々がともに生活する場所であり、社会の縮図とも言えます。隣人への配慮を含めた準備を今から始めることが重要です。

金子

防災の重要性と避難における多様な人々への対応がダイバーシティと関連していることを述べられました。三重県で長く過ごし、避難経験がない私たちにとって、避難に関する心構えについて意見はありますか。

吉村

一人暮らしの学生の間で避難グッズの準備に対する意識が低いと感じています。私は防災に興味があり、水をストックしながら普段使いもしていますが、知り合いや友達に聞くと、多くの人は必要な時だけ水を買い、水道水で済ませるという意見が多いです。

水木

下宿の学生などは、災害対策のための物品を揃える時間やお金、保管場所に制約があるため、準備に対するハードルが高いと感じることが多いです。しかし、災害はいつ起こるか分からないため、個々人が自分事として認識し、落ち着いて行動できるようにすることが重要です。特に本学のある地域の自然環境と社会環境を考慮すると、災害対策の必要性を意識してもらうことが大切だと考えています。

口田

愛知県に住んでいる私は、生まれた頃から南海トラフ地震への備えを求められてきましたが、実際にはまだ地震が来ていないため、周囲では「くるくる詐欺」のように感じられ、意識が薄れがちです。それでも、定期的に意識を持ち直すことが重要だと感じています。

村松

防災グッズなどは準備をしていません。防災グッズの準備をしていない理由は、災害が実際に来るかどうか疑わしいと感じていること、下宿先が狭くて置く場所がないこと、そして防災グッズよりもほかのことにお金を使いたいと考えているためです。そのため、防災準備の優先順位が低くなっています。

水木

ローリングストックの重要性は、日常的に使う水や食料を少し多めに備蓄し、緊急時に安心できる量を確保することにあります。まずは家に何もない状態を見直し、少しずつ備蓄を始めることが重要です。例えば、普段飲む水にもう1本追加するなど、小さなステップから始めることを推奨します。無理なく続けられる範囲で備蓄を進めることが大切です。

伊藤

災害時に一番困るもののリストがあるとよいと思います。私は最近雪道を走りに行くことがあるので、自分自身が雪道で動けなくなった場合に備えて、食べ物、水、携帯トイレを持参しています。

水木

非常時には携帯トイレと水が重要です。人間は非常時でもトイレに行きたくなり、不安や緊張で水を飲みたくなります。水を取らないと免疫が下がるため、これらは優先順位が高いです。

水木

人々の優先順位は異なります。例えば、薬が必要な人や、留学生にとっては自国との連絡手段が重要です。Web171(災害用伝言版)などの方法を学ぶことが必要です。また、水やトイレの確保は必須であり、これらを優先的に対応することが重要です。。

金子

災害は来ないに越したことはありませんが、優先的に備える意識を持つことは重要かと思います。

カク

内モンゴル出身の多くの中国人留学生は地震や台風に慣れておらず、最近の石川県や三重県での地震に対して恐怖を感じ、対処方法が分からない状況でした。大学では避難訓練や避難所の紹介が行われていますが、留学生が遊び感覚で参加していることが見受けられました。国際交流センターで新入留学生に対して、写真やビデオを使って災害のイメージや理解を深めた後に避難の紹介を行うとよいかもしれません。

金子

本学は75周年を迎え、キャンパスの施設が充実してきたことを喜んでいます。前半では、キャンパス愛を持ち、さらによい環境を作りたいという思いが語られました。後半では、ダイバーシティと防災に関する学生や教員の思いが共有されました。
地域共創プラザなど新しい建物が増え、キャンパスが充実してきた中で、今後はこれらの施設に見合うマインドを持ち、地域を見つめながら「三重から世界へ」というビジョンを掲げ、よい大学・よいキャンパス、そしてダイバーシティを推進していきたいと考えています。 本日は、ありがとうございました。

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