三重大学 環境・SDGs報告書2022

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

基調講演Ⅱ

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

韓国のカーボンニュートラルとSDGsの動向

 令和4年7月15日に開催された「日韓環境・SDGsフォーラムin三重」において、金 正仁韓国中央大学教授・カーボンニュートラル委員会経済産業委員⻑が「韓国のカーボンニュートラルとSDGsの動向」のテーマで基調講演を行いました。

金 正仁教授(R4.7.15)

金 正仁教授(R4.7.15)

基調講演の様子(R4.7.15)

基調講演の様子(R4.7.15)

 金 正仁教授は、韓国におけるカーボンニュートラルに関する政策や今後の展望について言及しました。地球の平均気温は、過去100年で1.09℃上がり、海面は2006年から2018年の間に年間3.7mm上昇したこと、1901年から1971年の間に以前よりも4倍速くなっていること、気象災害により、世界には125万人の環境難民が発生し、日本円に換算すると経済的損失は約340兆円にもなることを指摘しました。IEA(国際エネルギー機関)の137か国がカーボンニュートラルを宣言、または検討しており、そのほとんどが2050年までにカーボンニュートラルを目指し、14か国がすでに法律を可決していることについて話をしました。
 韓国は、カーボンニュートラルとグリーン成長の基本法が2021年に制定され、カーボンニュートラルに積極的に取り組んでいること、韓国の温室効果ガス排出量は、気候変動枠組条約(UNFCCC)批准国で11位、OECD(経済協力開発機構)加盟国で5位(2018年)となっており、世界全体の温室効果ガス排出量の1.51%(2018年)を占めていることを指摘しました。カーボンニュートラル達成のため、2030年までに温室効果ガス排出量を40%減らす計画を立てており、最重要政策は、再生可能エネルギーの割合を上げることで、2030年までに少なくとも20%、2040年までに30%、2050年から60年において70%以上に再生可能エネルギーの割合を増やすことによって、石油・石炭の化石燃料に依存している産業構造を変えていくことを言及しました。
 韓国におけるカーボンニュートラル政策は、プランAとプランBの二つのフェーズに取り組んでおり、プランAは石炭と化石燃料を完全にゼロにする、プランBは2050年までにゼロに向かってエネルギーの転換を図る、二つの計画について説明を行いました。化石燃料をゼロにすることも大事であるが、いくつかのフェーズでの取り組みを考え、2030~2040年までに韓国においては、70%以上のCO₂を含めた温室効果ガスの削減を見込んでいると話しました。しかし、韓国の企業のエネルギー分野において、それほど多くの温室効果ガスを削減できていないことから、少なくても2050年までに、エネルギー分野においては、70%近くCO₂を減らし、運輸分野においては、EV車に切り替えることで70%から80%、90%近くまで減らすことができると見込んでいることを指摘しました。建物に関しては、新しい建物の全てにおいてゼロエミッション建物を計画しており、廃棄物に関しては、プラスチックなどを全廃することを考えており、企業の努力が非常に大きくなっていることを言及しました。例えば、LGケミカル企業は、再生可能エネルギーを100%用いた製品を作り、現代自動車(Hyundai)は、EV車の普及によって2019年と比較して2040年までに75%のCO₂排出量を削減することが可能となったと言及しました。
 韓国政府と韓国の大学は、SDGsの17のほとんどの目標において、良い成果をあげ、良い評価を受けていることを強調する一方で、SDGsの弱い部分については、ジェンダー平等(SDGs目標5)、人や国の不平等(SDGs目標10)、気候変動対策(SDGs目標13)、海の豊かさ(SDGs目標14)、陸の豊かさ(SDGs1目標5)、パートナーシップ(SDGs目標17)を挙げました。韓国の大学においては、30か国56大学長組織による持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためのグローバルパートナーシップを結んでおり、日本では京都大学、韓国では高麗大学がトップランナーと言われているが、今日、朴 恵淑特命副学長の三重大学の環境・SDGsに関する基調講演を聞いて、三重大学がトップランナーであることに気づいたと語りました。
 最後に、カーボンニュートラルに向けての努力について言及しました。1つ目は、大学は、一般の方々とどのようなコミュニケーションを図るのか。2つ目は、森林などの吸収源に関する部分をどのように復活させるのか。3つ目は、教育システムはどのように国際化を図るのか。4つ目は、それぞれの大学のCO₂を減らすターゲットをどのように上積みするのか。5つ目は、技術革新、イノベーションについてどのように考えるのか。6つ目は、企業や行政とのパートナーシップをどのように取り組むのか。7つ目は、地域の特色を活かした地域モデルをどのように創るのか。例えば、三重大学と韓国中央大学との環境・SDGsの国際環境協力を結ぶなどの戦略が必要であるとの提案を行いました。

金 正仁教授の基調講演資料①

金 正仁教授の基調講演資料①

金 正仁教授の基調講演資料②

金 正仁教授の基調講演資料②

金 正仁教授の基調講演資料③

金 正仁教授の基調講演資料③

金 正仁教授の基調講演資料④

金 正仁教授の基調講演資料④

金 正仁教授の基調講演資料⑤

金 正仁教授の基調講演資料⑤

金 正仁教授の基調講演資料⑥

金 正仁教授の基調講演資料⑥

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