三重大学 環境・SDGs報告書2022

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

環境マネジメントシステム(ISO14001)のサーベイランス審査

  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

 令和3年9月27日から28日の2日間、本学が運用している環境マネジメントシステムが、ISO14001の規格要求事項に適合しながら自ら定めた取り決めに従い有効に運用されているか、組織の方針・目標を達成する能力を有しているかを確認するためサーベイランス審査が行われました。今回の審査では、新型コロナウイルス感染症対策として、審査・監査の国際規格(ISO19011:2018 マネジメントシステム監査のための指針)をもとに、遠隔審査としてWeb会議ツールのZoom アメリカのZoom Video Communications社が提供するインターネットを通じてコミュニケーションも行うアプリケーション(ツール)です。遠隔地にいる複数人が、Webカメラや音声、チャットなどのコミュニケーションを行う、オンライン・ミーティングのツールの名称。を活用して実施されました。

Web会議ツールのZoomを活用した学長インタビューの様子(R3.9.28)
Web会議ツールのZoomを活用した学長インタビューの様子(R3.9.28)

更新審査日時 : 令和3年9月27日~28日
審査登録範囲 : 上浜キャンパス(附属病院を除く)における教育、研究および社会貢献活動業務運営
審査機関 : SGSジャパン株式会社
審査方法 : 遠隔審査(Web会議ツールのZoomを活用)
審査目的 : 以下についてマネジメントシステムの適合を確認

  • 適用される法令、規制および契約上の要求事項を満たすことを確実にする能力
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  • 組織が特定した目的を達成することを合理的に期待できることを確実にするための有効性および、該当する場合、潜在的な改善の領域を特定すること

サーベイランス審査の結果

 サーベイランス審査の結果では、環境マネジメントシステム展開などが有効に働いていることを確認され認証登録が継続されました。審査の総合的所見では「不適合は発見されなかった」と評価コメントがありました。

 最高環境責任者である伊藤学長のインタビューと、サンプリングにより選定した、生物資源学部、工学部、財務部、施設部、環境ISO学生委員会、総括環境責任者、環境内部監査責任者、国際環境教育研究センターを対象として、環境マネジメントシステムの運用状況の確認やサイトツアーなどが行われました。対象部局の一つである環境ISO学生委員会では、委員である学生の皆さんも在宅にてZoom審査を受けました。

Webカメラを使用した確認の様子(生物資源学部)(R3.9.27)

Webカメラを使用した確認の様子(生物資源学部)(R3.9.27)

Webカメラを使用した確認の様子(工学部)(R3.9.27)

Webカメラを使用した確認の様子(工学部)(R3.9.27)

Good point

肯定的観察事項(良かった点)

1. 「本学においては、“エネルギー使用量6%削減”を目指すための省エネ活動に留まらず、スマートキャンパスへの取り組み、省エネ積立金制度(H29〜)の活用を積極的に展開されていました。その結果として、外部資金(補助金等)の調達が実現しており、設備の更新等に有効に活用されていました。これらの取り組みは環境改善の事例として特筆すべき活動として評価されます。(施設部)」と評価されました。

オンライン審査を受審する施設部(R3.9.27)
オンライン審査を受審する施設部(R3.9.27)

2. 「環境ISO学生委員会においては、“リユースプラザ in 三重大学”を2009年から継続的に実施されており、「着実に成果を上げているプロジェクトであり、学生生活のサポートだけでなく環境教育的効果も高い」とサステイナブルキャンパス推進協議会から評価(奨励賞受賞)を受けていました。その結果として、浪費・廃棄の問題解決へ寄与、海岸での不法投棄の減少等の効果が現れており、学生を中心とした環境活動の成果として特筆すべき活動として評価されます。(環境ISO学生委員会)」と評価されました。

オンライン審査を受審する環境ISO学生委員会(R3.9.27)
オンライン審査を受審する環境ISO学生委員会(R3.9.27)

3. 「「環境・SDGsマネジメントマニュアル(17版)」において、EMSの仕組みにSDGs の概念を組み込まれており、環境影響評価、シラバス策定等からもSDGs との関係性のマッピングが確認されました。これらの活動は、「環境・SDGs方針2021.4.1」に基づいて展開されており、「環境・SDGs報告書2021.9.30」に取りまとめ報告されていました。EMSとSDGsを融合された先端的な取り組みとして特筆すべき活動として評価されます。(国際環境教育研究センター)」と評価されました。

オンライン審査を受審する国際環境教育研究センター(R3.9.28)
オンライン審査を受審する国際環境教育研究センター(R3.9.28)

4. 「学生への履修プログラムの中に環境及びSDGsに関する教育及び、「三重大学シラバス」に基づく学生諸氏に対する教育指導、並びにリカレント教育も積極的に推し進められています。学生諸氏が大学及び大学院を巣立ち社会での貢献活動に係るまで、教育プログラムの有効性を評価するには非常に長期的な計画ですが、地球環境との共生を目指した創造力育成だけにはとどまりませんが、三重大学が学生と教職員及び関係者が全員参画の体制を取り、並びに地域社会と共同で参画されている活動は、環境マネジメントシステムの運用の観点から大変素晴らしいことと評価されます。今後の国立大学法人三重大学のご活躍を大いに期待申し上げます。(生物資源学研究科)」と評価されました。

オンライン審査を受審する生物資源学部(R3.9.27)
オンライン審査を受審する生物資源学部(R3.9.27)

観察事項

 サーベイランス審査の結果に関して、不適合はありませんでしたが、次の観察事項がありました。
※観察事項:是正につながる事項としてあげられ、推奨事項のことを言うが是正義務はない項目です。

観察事項・改善の機会

1. 「「施設部連絡会R3.9.10」から、自治体職員向け環境配慮契約研修会の報告(部内展開)が確認されましたが、参加者からの声や今後の取組等の証跡が見受けられませんでした。これらの研修内容は環境活動における力量向上や改善活動にも繋がることから、内部コミュニケーションの一貫としての教育記録の残し方において改善の余地があります。(施設部)」と提案がありました。

オンライン審査を受審する施設部(R3.9.27)
オンライン審査を受審する施設部(R3.9.27)

2. 「「年間予定表・数値目標2021.5.7」から、各部会における目標値及び活動計画が明確になっており、「総括資料2021.5.8」において部会活動の総括をされていました。これらの活動は、委員会メンバー以外への“環境マインド向上”にも寄与する可能性があることから、各部会の活動計画に学内及び地域へのPR活動(SNSを活用したイベント・部会のリアルタイム報告等)を取り込まれることにおいて改善の余地があります。(環境ISO学生委員会)」と提案がありました。

オンライン審査を受審する環境ISO学生委員会(R3.9.27)
オンライン審査を受審する環境ISO学生委員会(R3.9.27)

3. 「「環境内部監査員名簿R3.9.3」から、内部監査員研修を受講された教職員254名、学生39名の登録が確認されましたが、これまでの内部監査における実績(回数・評価)までは反映されていませんでした。(学生を含む)内部監査員としての力量向上のためにも、監査実績に応じた評価のフィードバックの仕組みを検討される等、内部監査プロセスの見直しにおいて改善の余地があります。(国際環境教育研究センター)」と提案がありました。

オンライン審査を受審する環境内部監査責任者(R3.9.28)
オンライン審査を受審する環境内部監査責任者(R3.9.28)

4. 「学内サイトツアーにおいて、いくつかの環境側面におけるリスクが懸念されましたので、必要に応じた対策を取られることに改善の余地があります。(サイトツアー)

  • 産業廃棄物置場に、蛍光灯が露天(雨に濡れる)の状態で保管してありました
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  • 実験廃液収集場において、廃液ピットの底から土や葉っぱが一部残っていました
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  • 実験廃液収集場において、緊急事態を想定した廃液処理マット、手袋が保管されていましたが、ゴーグルは別の用途に使用されていました
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  • 実験廃液収集場において、特別管理産業廃棄物に再利用ポリタンクが保管されていました
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  • エコステーションにおいて、乾電池が保管されていましたが絶縁処理が取られていませんでした」と提案がありました。
サイトツアーのオンライン審査(R3.9.28)
サイトツアーのオンライン審査(R3.9.28)

5. 「緊急事態対応訓練の進め方について、津波を想定された緊急事態の訓練を防災室が主催し大学全体で実施されています。また環境マネジメントシステムでデザインされた組織においてはこのような天災など自然災害を起因とする緊急事態については定義されておらず、各講座で特異的に発生する可能性が有る災害・事故についてのみ緊急事態と定義され、対応手順書を整備されて対応されているようです。環境マネジメントシステムは大学全体の組織の中の大学病院を除く一部分でデザインされています。環境マネジメントシステム組織図と大学全体の組織図との関連性またはインターフェースが分かるように工夫することで、例えば、ほんの一例ですが、防災室が大学全体で実施した津波を想定した緊急事態対応訓練の記録が、環境マネジメントシスムの規格要求事項に対応する緊急事態に対する訓練を実施した記録として活用できる、などのメリットが考えられます。環境・SDGsと教育の共生を継続するためにも、組織間のインターフェースまたは組織間の関わりを、よりわかり易くすることについて検討される余地が窺えます。(サイトツアー)」と提案がありました。

前回の審査所見への対応

 「前回審査時の「一般観察事項及び改善の機会」は、全て適切に対応されていました。」と確認が行われました。

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