2特集
「第16回環境マネジメント全国学⽣⼤会」を開催
- 4 質の高い教育をみんなに
- 13 気候変動に具体的な対策を
- 17 パートナーシップで目標を達成しよう
令和4年6月25日から26日にわたり「第16回環境マネジメント全国学生大会」を三重大学地域イノベーションホールにて、対面・オンラインのハイブリッド形式で開催し、全国の9大学12団体から73名の学生が集いました。本大会開催にあたり、三重大学内の学生サークルに呼び掛け、環境ISO学生委員会とESD-SDGsクラブが主体となる、三重大学学生環境・SDGsプラットフォームが大会の主催となり、計画から準備、運営を行いました。
環境マネジメント全国学生大会は、環境マネジメントシステム ISO14001規格では、「組織のマネジメントシステムの一部で、環境方針を策定し、実施し、環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されている。の運用や学内外においてさまざまな環境活動に取り組む全国の大学生・大学院生が集い、互いの活動報告や分科会での意見・情報交換を行う大会です。大学間の垣根を越えた交流により、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けてそれぞれの学生団体の活動を促進させるとともに、各団体が新たな活動の可能性を創造し、互いの価値観を共有して今後の活動の幅を広げることを目的に、平成19年から毎年開催しています。
本大会は、昭和47年7月24日の「四日市公害訴訟判決」から50周年、また、同年6月に世界初の国連人間環境会議(ストックホルム会議)開催から50周年、さらに、平成27年9月に採択された「国連持続可能な開発目標(SDGs)」の2030年までの折り返しとなる環境・SDGsの節目となることから、四日市公害の「過去の負の遺産」を「未来の正の資産」にかえるため、全国から環境とSDGsに関わる学生団体が集まり、未来への夢と希望につなげる、持続可能な社会・カーボンニュートラル社会に向けた提案・行動を促すことを目的として開催されました。本大会の成果として「三重宣言」をみんなで作成し、学生の共有した考えとしてまとめました。
初日は、主催校を代表して尾西 康充理事・副学長より開催挨拶が行われ、「自然豊かな三重大学に集まった皆さんからの自然共生、SDGs、カーボンニュートラル社会に向けた提案や行動に多く期待している」と述べられました。
基調講演は、朴 恵淑特命副学長(環境・SDGs)/WHOアジア太平洋環境保健センター(WHOACE)所長から「四日市公害の教訓から学ぶ持続可能なカーボンニュートラル社会創生とSDGs」をテーマに行われました。
1つ目の主題は、四日市公害の発生メカニズム、人間を含む生態系への影響、四日市公害の克服のための環境政策に関する研究成果および急激な経済成長に伴う環境問題が懸念されるアジア諸国・新興国との国際環境協力に関するレジームの提案が行われました。2つ目の主題は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の背景、目標、達成に向けた戦略、特に、SDGsの大命題である「誰一人取り残さない」ために、私たちは何をすべきかについて真剣に考えるよう問いかけました。3つ目の主題は、21世紀最大の環境問題である地球温暖化(気候変動から気候危機へ)防止のための国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26:グラスゴー気候合意)への参加から得られた、グローカル環境人材育成およびカーボンニュートラル社会構築のための産官学民のパートナーシップによる提案が行われました。
参加学生全員による分科会は、対面・オンラインの9つの少人数グループに分かれて、下記の3つのテーマについて、グループ毎に、各自・各大学の取り組みを踏まえ意見を交わし、各グループのファシリテーターからの報告を行いました。
① 「持続可能な開発目標(SDGs)」
② 「カーボンニュートラル社会」
③ 「グローカル環境人材」
分科会での議論に基づく、「三重宣言」の作成に入りました。各々の熱い思いから白熱した議論が続き、急遽、2日目に延長し、議論することとなりました。
その後、キャンパスツアーが行われ、三重大学内の風力発電やガスコージェネレーション 熱と電力を効率よく供給するシステムのこと。本学では、発電時の排熱を附属病院の給湯や冷暖房などに利用している。システムの見学、エネルギーマネジメントシステム 本学ではICT(情報通信技術)を活用して、エネルギー使用状況をリアルタイムで把握・管理し、最適化するシステムのこと。
エネルギー需給状況を一元的に把握し、需要予測に基づいて設備機器の制御を行い、エネルギー使用量の最小化を図るシステム。の紹介で締め括られました。
キャンパスツアー(ガスコージェネレーションシステム外観)
キャンパスツアー(ガスコージェネレーションシステム内観)
キャンパスツアー(風力発電)
2日目は、全参加団体の取り組み紹介・質疑応答が行われ、相互理解を深めた後、前日の分科会の議論を踏まえた素案を改めて参加者全員で見直し、調整を加えた上で、「三重宣言」が完成し、各大学の団体代表が協働して「三重宣言」を読み上げることで閉幕を迎えました。
参加大学・団体代表による三重宣言
三重宣言
閉会コメントは、朴 恵淑特命副学長(環境・SDGs)から、参加者みんなの総意で作成され、宣言された、「三重宣言」は、ゴールではなく、今後の各団体の活動の指針であるとともに、時代とともに改良を加えられていくべき、常に成長する宣言であることから、参加者の皆さんは、常に、この宣言を胸に、SDGs・カーボンニュートラル社会の創生に向けて、今日、この時点がスタートであることに気づき、「三重宣言」を参加者全員が成すべく活動指針のツールとして積極的に利活用していただきたいと述べられ、全国学生大会を終えました。