三重大学 環境・SDGs報告書2022

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

環境ISO学生委員会

  • 2 飢餓をゼロ
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

概要

 環境ISO学生委員会は、平成18年2月21日に「MIEキャンパス宣言」を掲げ、学生の環境マインド向上を活動理念として発足しました。学生目線の活動を学内・学外で行っており、3Rと緑化、地域連携活動に大別されます。
 3R活動 Reduce(廃棄物の発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)を指した活動のこと。
大量生産・消費・廃棄から、適正生産・消費・最小廃棄といったパラダイム転換が求められ、2001年には循環型社会形成推進基本法が施行され、2002年より、毎年10月を「3R推進月間」と定め、さまざまな普及啓発活動が行われている。
では、エコキャップ ペットボトルのキャップのこと。
環境ISO学生委員会では、その売却利益をもとに発展途上国の子ども向けワクチンを送る支援活動を目的に回収し、市内の業者へ譲渡している。
の回収プロジェクトに参加したり、学生・教職員から家具家電や自転車を回収し、修繕過程を経て譲渡したりしています。緑化活動においては、緑のカーテンの設置により冷房負担を軽減させることや学内の花壇に植栽すること、落ち葉を活用した堆肥化(コンポスト)を実施しています。また地域連携活動として、近隣住民と連携した海岸清掃や環境イベント(主に県内)への出展を行っています。そして、これら活動全般をSNSやホームページ、環境・SDGs報告書を通じて報告・周知することで、環境への意識向上を働きかけています。

環境ISO学生委員会集合写真(R3.7.18)
環境ISO学生委員会集合写真(R3.7.18)

3R活動

リ・リパック回収

 三重大学生活協同組合ではリ・リパック 容器の表面に薄いフィルムを圧着し、リサイクルを容易にしたもの。
使用後に表面フィルムを剥離することにより、洗浄をせずにそのまま回収・リサイクルができ、ごみの量が通常の1/20程度となる。
という表面に貼られているフィルムを剥がすことで再利用できる容器を使用したお弁当が販売されています。当委員会では学内各所に設置したリ・リパック回収ボックスに集まったリ・リパックを回収し、三重大学生活協同組合へ渡す活動を行っています。リ・リパックは回収率が40%以下になると環境への負荷の方が大きくなってしまうため、回収率の維持・向上を目指し、回収ボックスのリニューアルやポスターの設置といった周知に努めています。
 また、回収は月に1回を目安に行っており、講義形式がほぼオンラインとなった令和3年度は計677個と例年より少ない回収量になりましたが、令和4年度は対面講義が増えたことで回収量も徐々に戻ってきています。

リ・リパック回収数
リ・リパック回収数
リニューアルしたリ・リパック回収ボックス(R4.6.13)
リニューアルしたリ・リパック回収ボックス(R4.6.13)

古本回収・譲渡

 当委員会では、不要になった本を学内にて回収し、無償で三重大学生や教職員に譲渡する古本市を開催しています。古本回収ボックスは学内の3か所(環境・情報科学館1階、附属図書館1階、翠陵会館1階)に設置してあり、定期的に古本の回収を行っています。回収した本は分類コードに従って分類し、状態の悪いものは古紙として処分・再生利用しています。
 令和3年度は新型コロナウイルスの影響により古本市を開催できませんでしたが、令和4年度はオンラインでの譲渡手続きを初めて導入して開催したことで、古本の譲渡率8割を達成しました。

古本市(R4.5.23)
古本市(R4.5.23)

インクカートリッジ・トナーカートリッジ仕分け作業

 当委員会では大学構内のエコステーションと呼ばれる場所でさまざまな資源を回収していて、インクカートリッジ・トナーカートリッジの回収も行っています。当委員会は「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」に参加しており、インクカートリッジは指定の4企業(キヤノン株式会社、ブラザー工業株式会社、沖電気工業株式会社、株式会社日本HP)かつリサイクルインクでないものは再利用可能であるため、三重大学生活協同組合と協力して分類・分別ののち、メーカーに送っています。また、トナーカートリッジもインクカートリッジと同じ指定の4企業かつ純正のものは再利用できるため、こちらも三重大学生活協同組合と協力して分別作業を行い、メーカーに送っています。
 この活動は令和2年度から2、3か月に1回を目安に行っていて、令和3年度は計3回(令和3年4月28日、同11月11日、令和4年3月16日)の仕分け作業を行いました。

インクカートリッジ・トナーカートリッジ仕分け作業(R2.11.12)
インクカートリッジ・トナーカートリッジ仕分け作業(R2.11.12)

エコキャップ回収

 エコキャップ(ペットボトルキャップ)回収では、エコステーションと翠陵会館1階に回収ボックスを設置し、月に1回の回収作業を行っています。回収したエコキャップは株式会社三和コーポレーション(特定非営利活動法人エコ・ワクチン協力会ペットボトルキャップ引取事業所)へ2、3か月に1回を目安に譲渡しています。エコキャップ回収活動を行うことで、エコキャップがワクチンや別製品の資源に姿を変えるだけでなく、処分時に発生するCO₂を削減するなど、さまざまな効果が期待できます。
 令和3年度は計4回(令和3年5月19日、同7月14日、同11月25日、令和4年1月27日)、総重量399㎏のエコキャップ譲渡を行い、合計約1,257㎏のCO₂削減に貢献しました。(1kgのキャップを燃焼処分すると、3,150gのCO₂が発生するものとして換算)

 ペットボトルキャップの主な素材である、PP(ポリプロピレン)とPE(ポリエチレン)に含まれる炭素の原子量から燃焼時に発生するCO₂量から求めています。
 具体的な計算方法は以下の通りです。
PP:(C3H6)=12×3+1×6=42
 内、炭素量 12×3=36 (率)36÷42=0.857
PE:(C2H4)=12×2+1×4=28
 内、炭素量 12×2=24 (率) 24÷28=0.857
これはPPが1に対して炭素が0.857(36÷42)、PEが1に対して炭素が0.857(24÷28)含まれているということです。
また、これらを焼却するとC+O₂=CO₂より、炭素(C)が二酸化炭素(CO₂)になります。
これは、C(12)がCO₂(44(=12+16×2))として排出されるということです。
つまり、炭素は44÷12=3.6667倍の二酸化炭素になって排出されるということです。
そのため、0.857(PPとPEに含まれる炭素)×(燃やした時の増分)=3.15となります。
よって、1㎏のキャップを燃やした場合、3.15㎏(=3,150g)の二酸化炭素が排出されるという計算になります。
(※原子量:H=1、C=12、O=16として計算)

エコキャップ譲渡(R3.11.25)

エコキャップ譲渡(R3.11.25)

エコキャップ譲渡先 株式会社三和コーポレーション三重工場(R3.12.7)

エコキャップ譲渡先 株式会社三和コーポレーション三重工場(R3.12.7)

リユースプラザin三重大

 リユースプラザは、卒業生から不要になった家具・家電を回収し、動作確認および清掃を行ったあと、新入生や在学生に無償で譲渡するイベントです。回収・譲渡する家具・家電は多岐にわたり、冷蔵庫や洗濯機、炊飯器、棚などさまざまなものを対象としています。この活動が始まった背景は三重大学生によるものと考えられる本学周辺の町屋海岸への家具・家電の不法投棄です。この問題を解決するために家具・家電を回収するとともに、譲渡も行うことで資源の再利用を図るという目的があります。実際に、リユースプラザを開始して以来、町屋海岸に棄てられる家具・家電は減少しています。
 令和3年度はオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド形式で開催しましたが、新型コロナウイルスの影響とイベントの周知不足により、目標である90%の譲渡率を達成できませんでした。そのため、令和4年度リユースプラザ開催時は広報手段の再検討を行う予定です。

家具・家電の回収(R3.2.28)

家具・家電の回収(R3.2.28)

家具・家電の譲渡(R3.3.27)

家具・家電の譲渡(R3.3.27)

放置自転車対策活動

自転車修理

 広い敷地を持つ本学は自転車を利用する学生や教職員が多いため、放置自転車が問題となっていました。それを受けて平成19年度より当委員会が学務部に協力する形で放置自転車対策活動が始まりました。本活動は回収・修理・譲渡といった一連の流れを一年通して行っています。令和2年度は回収や譲渡は実施できませんでしたが、令和3年度はコロナ禍以前同様、回収・修理・譲渡の全ての活動を行いました。令和2年度は大学の講義のほとんどがオンラインであったため、自転車を使用する生徒は例年に比べ減少していました。その中で、放置自転車として473台の自転車を回収し、そのうち修理可能と判断した11台の自転車を修理し、新入生および留学生に全て譲渡しました。今後は従来の活動を継続するだけではなく、卒業生から自転車を自主的に回収することで放置自転車を減らしていこうと考えています。

放置自転車回収(R3.10.31)

放置自転車回収(R3.10.31)

修理(R4.3.3)

修理(R4.3.3)

緑化活動

屋上緑化

 環境・情報科学館の屋上では、建物の冷房負荷の軽減や温室効果ガスの吸収を目的とした緑化活動を行っています。
 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症のため活動ができず、造園業者の力を借りたり、花壇のデザインを変えたりしながら、屋上緑化を行ってきました。花を植え、定期的な雑草抜きを行い、景観維持と環境マインド向上に努めてきました。
 令和4年度は、対面授業が本格的に始まり、通学する三重大学生も増えたので、「見て楽しむ憩いの場」としての機能を果たるよう、定期的な雑草抜きと季節に合わせた植物植えを頑張っていきたいと思います。

屋上の花々(R3.4.2)
屋上の花々(R3.4.2)
屋上ポスター
屋上ポスター

落ち葉コンポスト

 学内にはさまざまな種類の木々が植えられ、緑あふれるキャンパスとしての役割を果たす一方で、気温が下がる季節になると葉を落とし、側溝に詰まって排水を妨げてしまいます。そこで資源循環の観点から、その落ち葉を堆肥化するべく、平成19年度に活動を開始しました。
 まず、学内の清掃・緑化活動を行っているキャンパス環境整備室から、回収した落ち葉の提供を受け、コンポスト 落ち葉などの有機物を微生物や菌などの作用により発酵させ、堆肥に変える循環の仕組み。本学では学内の花壇および附属学校園、地元企業へ還元することで資源循環を促している。と呼ばれる堆肥をつくる場所へ運びます。その後、落ち葉の山をスコップでかき混ぜ、水をかけることによって、中の微生物に落ち葉の分解を促す「切り返し」と呼ばれる作業を1か月に1度行います。この作業を1年ほど繰り返すと、落ち葉が細分化された土が完成します。令和3年度は土のう35袋分の堆肥を作成し、花壇の土の改良やグリーンカーテンに使用しました。

切り返し(R4.7.8)
切り返し(R4.7.8)

グリーンカーテン

 グリーンカーテンは、緑化活動の一環として、毎年、環境・情報科学館の西面で行っている取り組みです。グリーンカーテンには建物の温度上昇を抑える効果が期待でき、令和3年度はゴーヤを栽培しました。また、収穫したゴーヤを使って、ゴーヤチャンプルやゴーヤカレーなど、美味しい料理を作ることもできました。緑化に加えて、ほかの活用方法があることもこの活動の魅力です。
 令和4年度は、ヘチマのグリーンカーテンに挑戦しています。ゴーヤのグリーンカーテンのように、大きく成長してくれることを期待しています。

ゴーヤのグリーンカーテン(R3.7.9)

ゴーヤのグリーンカーテン(R3.7.9)

ヘチマのグリーンカーテン(R4.7.6)

ヘチマのグリーンカーテン(R4.7.6)

食用カンナ

 食用カンナの栽培は、令和4年度より教職支援センター前の花壇で始めた活動です。食用カンナの栽培には、ほとんど手間がかからないため、庭先に植えておくことによって、災害時など食料が手に入らなくなった際、一時的に飢えをしのぐために有効ではないかと期待されています。これを確かめるため、令和4年度はどのくらい有効性があるのか実際に植えて観察しています。結果は、秋頃に分かる予定です。

食用カンナ(R4.7.20)
食用カンナ(R4.7.20)

地域連携活動

町屋海岸清掃

 町屋海岸は、本学から歩いて5分ほどのところにある海岸で、過去に家電やペットボトルのポイ捨てなど、さまざまなごみの不法投棄が問題とされていました。これを知った当委員会と地域住民が協力して立ち上がり、「裸足で走れる町屋海岸」を目指して年5回、海岸清掃を実施しています。この活動では単に海岸清掃をするだけではなく、その中で環境問題を自分にとって身近なものと捉えてもらい、環境について改めて考えてもらうきっかけにしたいと考えています。また、清掃を通じて地域の方々との交流が広まることで、年代や立場に関係なく、さまざまな人とのつながりを築く場になることを目標としています。

第75回町屋海岸清掃の様子(R4.5.15)

第75回町屋海岸清掃の様子(R4.5.15)

第75回町屋海岸清掃集合写真(R4.5.15)

第75回町屋海岸清掃集合写真(R4.5.15)

広報活動

Webサイト

 当委員会の活動を学内外へ広報するために、平成18年度からWebサイトの運営を開始しました。主にイベントの告知やイベントの予約フォームとして利用しています。また、「メンバーによるブログ」では活動に参加した学生の振り返りを掲載しています。令和2年度および令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、例年のイベントのオンライン化が求められ、Webサイトを用いながら開催しました。

環境ISO学生委員会Webサイト(R4.7.25)
環境ISO学生委員会Webサイト(R4.7.25)

まもるボックス

 環境・情報科学館1階、教養教育校舎1号館1階および翠陵会館1階の3か所にまもるボックスを設置しています。学内に向けた活動として、学生・教職員から当委員会や学内環境に対する意見や質問、要望などを募集しています。令和4年度から大学では対面授業が活発化し、学内に多くの学生が来るようになりました。その分、まもるボックスの需要は大きいと考えています。

SNS

 当委員会はより多くの人達への情報発信を目的にTwitterを運用し、主にイベントの告知や活動報告を行っています。手軽に投稿ができる点や、「いいね」・「リツイート」によって情報を受け取る側の反応が可視化されている点で広報する際に重宝しています。新勧イベントで当委員会の放置自転車対策活動を紹介した際には、自転車を趣味としている方々から多くの反応をいただき、Twitterの発信力を実感しました。Twitterを含めSNSは現在多くの人が日常的に利用するものとなっていて、これをうまく利用することが広報をより効果的に行うことにつながると考えています。今後、Twitter以外のSNSの利用も検討していきたいと考えています。

環境ISO学生委員会Twitter(R4.7.8)
環境ISO学生委員会Twitter(R4.7.8)

イベント活動

JUMP

 JUMPとは、各地域のごみを拾い集め、集めたごみをもって正午に一斉にJUMPすることで、地球を軽くしようというコンセプトの清掃活動イベントです。例年、公立鳥取環境大学学生EMS委員会主催のもと、各地域で開催されています。令和2年度は悪天候により別日に単独開催となりましたが、令和3年度は私たちも参加し、2つの班に分かれて清掃活動を行いました。
 当委員会では、より多くのごみを集めてもらうべく、独自にゲーム形式を取り入れました。清掃に向かう前にごみの種類を記入したビンゴシートを作成し、最終的なビンゴ数と拾ったごみの重量に基づいて2班を順位付けしました。
 実際に清掃活動を行うと、タバコやペットボトルのようなごみだけではなく、大量の鍋や食器類を始めとした運搬の難しいごみが増加しており、不法投棄の防止活動、および定期的な清掃による環境保全活動の必要性を感じました。

JUMP集合写真(R3.10.23)
JUMP集合写真(R3.10.23)

環境デーなごや

 「環境デーなごや」実行委員会主催のおうちで環境デーなごや2021に参加しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、環境啓発イベントが次々と中止とされる中、本イベントはオンライン形式で開催されました。
 環境デーなごやは、「パートナーシップで創ろう“環境首都なごや”」をテーマに環境問題について考え、理解、関心を深めよりよい環境づくりに向けて行動を実践する契機づくりのためのイベントです。
 当委員会は、海洋ごみ問題に関する4分程度の動画を作成しました。作成した動画の前半部分では、実際にごみが落ちている海岸を背景に、海洋ごみが海洋生物におよぼす影響、海洋ごみが増える仕組み、そして海洋ごみ問題の解決法について啓発し、後半部分では町屋海岸清掃を中心に当委員会の活動を紹介しました。
 作品公開日には、環境デーなごやイベントホームページにさまざまな団体の作品が公開され、私たち自身の環境に対する意識、モチベーションの向上につながりました。

作成した海洋ごみ問題に関する動画(R3.11.30)
作成した海洋ごみ問題に関する動画(R3.11.30)

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