川の水を感じる陸水研究

  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう

<人文学部 文化学科>谷口 智雅(教授)

 河川環境の理解では、川の水がきれいか汚れているか、どのような魚がいるかなど河川水質や生態環境に興味・関心が向けられることが多いですが、水系や地形的な流域特性の理解とともに、流れる水の量(流量)や水温の把握は大切です。また、流量や水温の地域的分布の理解は、気象気候や地形、地質などの自然環境、土地利用や水利用などの影響を受けるあるいは影響を及ぼすことからも重要な要素と言えます。

 このような視点から、都市の親水空間として利用されている河川・水路と多くの人が訪れていない河川上流山間地域の渓流と両極端な河川の流量(流量を理解するための流速)と水温の調査を行っています。都市内の親水空間に比べて渓流の観測は、河川(支流)までの道路の未整備や整備されていても道路から川にたどり着くまで急な斜面を下りて行くなどアクセスが非常に困難なこともあります。また、川の中に入り川幅や川の深さを測定し、流速・流量の測定は危険も伴う調査になりますが、「水が冷たい」、「流れが強い」、「早く流れている」など体感しながら常に注意を払って作業を行っています。しかし、それら苦労の先に澄んだ綺麗な川の様子も見ることができます。

 平成26年9月27日に噴火した御嶽山南麓を流れ、木曽川上流の王滝川とその支流での調査では、国有林が広がる鯎川などの王滝川右岸支流では比流量と呼ばれる単位面積当たりの流量に顕著な違いはありませんが、王滝川左岸支流の御嶽山山体地域の濁川などの支流では比流量の違いが観測されました。水温は王滝川左岸支流より右岸支流の方が低い傾向にあり、流量と同様に地域差がありました。これらは森林の整備の状況や土地利用、火山山体の透水性、発電用水の取水による影響などにより、地理的分布の地域的特徴が示されています。

 主要な河川や特定の地点の川の水位やダム湖の水位の現況や変化は、インターネットで見ることができます。台風や雷雨などで多く雨が降り川の水位が上がる様子や逆に雨が降らずに水不足になってダム湖の貯水量が低下している時には、よく確認しています。また、三重大学の近くを流れる志登茂川は感潮河川と呼ばれる潮の満ち引きの影響で川の水位が変化する河川ですが、その変化を授業の一環として調査を行ったり、水位変化をインターネットから確認することも行っています。河川を流れる水の量は自然の恵みと猛威の両面も持ち合わせるものであり、今後も関心を持って感じていきたいと思います。

  • 御嶽山と王滝川支流の濁沢

  • 上流方向を見た干潮時と干潮時の志登茂川の様子

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