木製ストロー「ウッドストロー」が
ウッドデザイン賞2018受賞

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう

 三重大学大学院生物資源学研究科 資源循環学専攻 木質分子素材制御学研究室の野中 寛教授と松岡 拓磨さん(同博士前期課程在学)が開発した木製ストロー「ウッドストロー」が,ウッドデザイン賞2018(JAPAN WOOD DESIGN AWARD 2018)(ライフスタイルデザイン部門/技術・研究分野)を受賞しました(平成30年10月25日)。

 平成30年12月6日(木),東京ビックサイトで開催された展示会「エコプロ2018」にて表彰式が行われ,審査委員長と2018ミス日本みどりの女神と共に記念撮影を行いました。

  • 表彰式(H30.12.06)

    表彰式(H30.12.06)

  • 三重大学ブースの様子(H30.12.07)三重大学ブースの様子(H30.12.07)

 環境中に廃棄されたプラスチック製品が,マイクロプラスチック環境中に拡散した微小なプラスチック粒子であり,特に海洋環境において極めて大きな問題になっている。主に,海洋を漂流するプラスチックごみが紫外線や波浪によって微小な断片になったものを指す。 化することにより,生態系に影響がでていると言われています。その象徴的存在として,世界的にプラスチックストローの廃止が打ち出されているのは,ニュースなどで報道されている通りです。

 今回の受賞作品「ウッドストロー」は,木材を切削加工して製作したものではありません。 ザ・パック株式会社との共同研究成果1,2)を木粉へと展開し,石油系の樹脂や接着剤は一切使わず,食品にも使われるセルロース系増粘剤(信越化学工業株式会社)を用いて湿式押出成形により作成したものです。 ストローのような細く肉薄で中空の製品を成形するための金型は,高精度・微細加工技術を有する地元三重県津市の東海アヅミテクノ株式会社で特注製作しました。木粉を用いた「ウッドストロー」,コーヒーかすを用いた「バイオマスストロー」の開発については,2018年度日本木材学会中部支部大会3),第14回バイオマス科学会議4)にて,それぞれ学会発表を行っています。

 この作品は,木材を用いた新たなモノづくりの可能性,天然系素材による石油プラスチック代替の可能性を示すものであり,今後はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクト5)にて,主に耐水性の付与について研究を進めていきます。

参考文献

  • 「三重大学大学院生物資源学研究科・野中 寛准教授/ザ・パック:パルプや紙粉,CNFから3次元成形体を押出成形。プラスチックの加工性とリサイクル性の両立目指す」,月刊コンバーテック 2017年6月号, Vol. 531, 14-16
  • 河村 海斗, 阿部羅 貴嗣, 野中 寛,セルロース誘導体を用いたセルロース繊維の押出成形,紙パ技協誌, 72(3), 315-320 (2018)
  • 松岡 拓磨,野中 寛,「押出成形法によるオール木質ストローの開発」,2018年度日本木材学会中部支部大会(2018年10月25日,静岡)
  • 松岡 拓磨,野中 寛,「コーヒー抽出残渣を利用したストローの押出成形」,第14回バイオマス科学会議(2019年1月16~17日,東広島)
  • 2019年度「NEDO エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」
    https://www.nedo.go.jp/koubo/CA3_100193.html

問い合わせ先

  • 三重大学大学院生物資源学研究科 野中 寛
  • Email: nonaka(a)bio.mie-u.ac.jp  ※「(a)」を「@」に変えてください。

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