「SDGs」実践セミナーへの講師派遣

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

 平成31年2月25日,百五銀行四日市西支店で開催された「SDGs」実践セミナー(主催:百五銀行,三重大学,損保ジャパン日本興亜,SOMPOリスクマネジメント,後援:三重県,四日市市)において,『大学を起点とした環境・SDGs 推進構想』の演題で本学の科学的地域環境人材育成部門長の佐藤 邦夫教授が講演を行いました。

 本セミナーにおけるほかの演題は,『環境・社会課題の最新動向とSDGs』(佐野郁夫氏:SOMPOリスクマネジメント株式会社,法政大学理工学部兼任講師),および『ビジネスとSDGs -「SDGs で成功する企業」とは?』(関 正雄氏:損害保険ジャパン日本興亜株式会社)でした。

  • 『大学を起点とした環境・SDGs 推進構想』講演の様子

    講演の様子(H31.02.25)

 これらの演題からも分かるように,最近のSDGs関連講演会ではSDGsとは何か?という初期の普及を目的とする話題よりも,SDGsをどのように企業や行政の社会活動に組み入れるのか?あるいはどのようにすれば関連する経済的なメリットを得られるのか?という内容の講演が主流となってきました。

 この流れは,「誰一人取り残さず」幅広い人類の福祉を追求するという高いハードルを持つ持続可能な開発目標,SDGsが,多くの(あるいは全ての)人々・企業・自治体・国による,幅広い日々の実践により,本当に2030年までに達成できるかどうか?という局面にあって,それを事業としての本業の中に組み込む必要性が示されてきたことから,必然的な動向であると考えることができます。例えば,企業は収益を上げて持続的に事業を継続することが,また自治体も住民が栄えることにより地域コミュニティが持続的に存続することが,それらの本業の主要な目的をなしていると思われます。

 教育機関である大学としては,SDGsのそのような必然性を分かりやすく解説し,一般の人々,あるいは企業や自治体の担当者に真の理解を深めて頂き,SDGsの幅広い普及と実践をバックアップする必要があります。

 その意味で,今回の講演では,“環境問題に対するパリ協定 第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて2015年に採択された,2020年以降の気候変動対策について,先進国,開発途上国を問わず全ての締約国が参加する公平かつ実効的な法的枠組みである協定のこと。”があるのに,なぜ突然SDGsが出てきたのか?という一般の素朴な疑問に答えるよう,もともといわゆる先進国と途上国の対立から,「環境」と「持続可能な開発」はセットで議論されてきた経緯があること(例えば地球環境分野でエポックメーキングな1992年のリオの地球サミットの正式名称は「環境と開発に関する国際連合会議」でした),これらの議論が,地球環境問題に関しては京都議定書やパリ協定に,また持続可能な開発に関してはMDGsそしてSDGsに継続して引き継がれていることを解説しました。

 そのような経緯から,「範囲」としては,人類の幅広い福祉をゴールとし包摂性の高いSDGsが,地球環境問題の範囲もおおむねカバーしており(それぞれ中心的に活動している人々の関心と取り組み手法は少し異なりますが),本学が進めている「科学的地域環境人材(SciLets)育成事業」の範囲もほぼSDGsに含まれています。SDGsに含まれていていわゆる環境問題に含まれていない範囲については,SciLetsの第4分野にSDGsの項目を「環境管理・ESD持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)の略語。
現代社会の課題を自らの問題として捉え,身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより,それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと。そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のこと。
・SDGs」として増設して対応しています。

科学的地域環境人材(SciLets)育成事業とSDGsの関係

 講演では,本学はこの地域に必要な環境・SDGsに関する社会人教育(学生も含む)を,SciLetsのビデオ講義システムによって行っていくことを解説し,理解を得ました。

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