第27回日本臨床環境医学会学術集会を開催

  • 2 飢餓をゼロ
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 15 陸の豊かさも守ろう

 平成30年7月7日~8日,環境・情報科学館において,第27回日本臨床環境医学会学術集会を開催しました。

 日本臨床環境医学会は,1992年に環境と疾患に関する研究の発展を促進し,疾患予防と治療に努めるために設立された学会です。中毒,アレルギー,内分泌,自律神経など,環境問題と臨床医学の接点を主題として毎年学術集会を開催していますが,三重県での開催は初めてであり,また,女性(看護職)が大会長を務めたのも初めてのことでした。

 今回の学術集会のテーマは,「トータルヘルス社会の実現に向けて」でした。トータルヘルス社会とは,人にとってあるべき健康を目指した,疾病の治療や予防に留まらない包括的なヘルスケアシステムの構築された社会を表しています。誤解を恐れずに表現するならば,それは,「生活することで健康になれる社会」です。よって,今大会では,参加者がその片鱗を感じられるよう,参加するだけで健康になっていける努力をしました。

 例えば,会場からワープロで書かれた画一的な文字を排除し,演題タイトルほか全ての文字を書家による毛筆書きとしました。これは,毛筆書きに,思いやりや労りといった人の感情を載せることができると考えたからであり,口演タイトルの案内も,パワーポイントを使った無機質なものではなく,手作りの檜のめくり台を使用しました。さらに,研究発表の時間制限を知らせるベルには,シンギングボウル 音治療などで用いられ,澄んだ音色を特徴とする。を用いました。口演会場で,繰り返し否応なく耳に入る時間制限のベル音が,研究者への治療(癒し)になる必要があると考えました。

 学術集会プログラムの組み立てには,神羅万象に見られるヘリックス(螺旋構造)を意識し,軸が通って向上するイメージを取り入れました。具体的には,国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第七部部長本田学氏による特別講演(オープニング),富山大学医学部公衆衛生学講座准教授浜崎景氏による教育講演①,東海大学医学部長・基礎医学系生体構造機能学領域教授坂部貢氏による基調講演,東京大学分子細胞生物学研究所免疫・感染制御研究分野教授新蔵礼子氏による教育講演②(エンディング)を組み,その間に,40題の研究発表と現代の大きな健康テーマである電磁波による環境病および高齢者住宅に関する2つのシンポジウム(講演8演題)を組み込みました。

 また,硬いイメージの研究発表に対して,順天堂大学医療看護学研究科地域看護学分野教授櫻井しのぶ氏(三重大学名誉教授),三重大学大学院工学研究科分子素材専攻教授金子聡氏,トータルヘルス研究所(津市河辺町)所長落合正浩氏らによる笑いの絶えない市民公開シンポジウムを開催しました。さらに,講演後には,米国在住のジャズ・ハープ奏者・古佐小基史氏による演奏会に加えて希望者にアロマセラピーを行いました。

 2日間に渡り,環境・情報科学館1階を研究者らによる討論の場,3階を全国の環境病患者の「声(現状)」を展示する場としました。加えて,良好な睡眠,周波数による身体調整,過疎地の茶実を使った油精製(環境病患者による町興し),健康住宅素材などの企業展示を行いました。また,地元菓子店舗からの支援を受け,全国からの参加者に三重県の味を楽しんでもらい産学連携の契機となるようにしました。

 今大会では,全ての食事に完全オーガニック素材を取り入れました。日本環境医学会の学術集会が,完全オーガニック素材を使ったグレイニズム 人の健康を育む「穀物」を正しく栽培,正しく食べる食生活の基本を見つめなおすことを普及する活動のこと。の食事を提供したのは初めてのことであり,この企画は,単なるダイエットや生活習慣病予防といった個としての健康を追求するという小さな意味だけを目指したものではありませんでした。日本人が過去に何を食べて暮らし,そして,地球環境保全のために,これから何を食べて生きていくべきかについて問いかける食事を提供したつもりです。

 文字だけでは表現し切れないことが残念ですが,今回は,学術集会全体(時空間と内容)に「対」のバランスを持たせる工夫をし,参加者(一般会員69名,学生会員5名,非会員45名,学部学生30名,計149名)から満足度の高い感想を得ることができました。学術集会当日は,西日本が激しい雨天となり,後に,「西日本豪雨災害」と名付けられた日でした。しかし,津市上空は,7日朝に薄曇りから徐々に雨へ,集中豪雨の夜が明けて8日朝には晴天となり,まさに,天候までが自然のバランスを教えてくれたかのようでした。後に,多くの学会員から,「三重県での大会は,過去に無い素晴らしいものであった」という声を頂戴することとなり,世界一の環境先進大学を目指す本学のアピールにつながりました。

  • 学識情報交換会(H30.07.07)

    学識情報交換会(H30.07.07)

  • シンポジウム(H30.07.07)

    シンポジウム(H30.07.07)

  • シンポジウム(H30.07.07)

    シンポジウム(H30.07.07)

  • アロマセラピー(H30.07.08)

    アロマセラピー(H30.07.08)

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