学長メッセージ
環境の文化の根付く三重大学の目指すもの
令和元年9月 三重大学長 最高環境責任者 駒田美弘
三重大学は,「世界に誇れる環境先進大学・環境の文化の根付く大学」を目指して,学生と教職員が連携協力し,さまざまな取り組み・活動が実施されています。組織体としての三重大学は,第3期中期目標中期計画の6年間において,エネルギー使用量を2015年度比で6%削減するという意欲的な達成目標を設定致しました。そして,エネルギー総合管理システムの導入,再生可能エネルギー(風力と太陽光)とガスコージェネレーション 熱と電力を効率よく供給するシステムのこと。本学では,発電時の排熱を附属病院の給湯や冷暖房などに利用している。による発電,省エネ積立金制度による省エネ重点施設(デシカント空調 温度と湿度を個別に制御する空調機のこと。除湿剤で湿度のみを下げることができ,必要以上に温度を下げることなく効率的な空調が可能となる。・低損失LED照明)の整備等,ハード面での対策を実施してきています。さらに,学生,教職員が協力し,環境ISO学生委員会を中心に,大学キャンパス内における省エネ・節電活動,地域・社会への環境マインドの水平展開にも取り組んでいます。また,高等教育機関である三重大学としては,環境マインドを持った人材の育成,地球環境の保全・改善に資する先端研究の実施等,環境分野の教育・研究においても重要な役割を担っています。
環境文化の熟成と人材育成
三重大学は,組織体としての省エネ活動を着実に実施していくと共に,平成27年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載をされている17のSDGs(持続可能な開発目標)を達成するための行動へと,その活動範囲を拡大しています。そして,全ての人が尊厳を持って生きることのできる「誰も取り残されない(No one will be left behind)」永続的な社会・地球環境を構築するための拠点となるため,学内・地域における環境の文化の熟成を図っています。三重大学での学びを通して,未来を担う若者の心に,環境マインドが根付くことを期待していますし,環境マインドを身につけた学生には,社会においても三重大学の環境文化を広く発信し,SDGs推進のリーダーとして活躍して頂くことを願っています。
また,平成28年度から,地域の環境を保全し,地域に多く賦存する環境価値を利活用して地域の活性化を図ることを目的とした「科学的地域環境人材(SciLets)育成事業」を開始致しました。すでに今まで,多くの企業・自治体の環境担当者,一般社会人,三重大学学生が受講し,修了されています。地域環境科学分野の講義,環境(技術)に関する共同研究,異分野・異業種交流を通して,地域で活躍できる優れた環境人材を育成していきたいと思います。
未来のスマートキャンパスづくり
三重大学は,自然豊かなキャンパスづくりを進めていく基本となる「キャンパスマスタープラン2016」を作成し公表を致しました。このプランは,既存のキャンパス資産を最大限活かしつつ,それを現実的・持続的・創造的に拡大再生産する「創造的再生」の戦略を用いています。三重大学キャンパスは,豊かな木々の緑に囲まれ,伊勢湾の波の音や小鳥のさえずりが聞こえ,澄み渡った青空を仰ぎ見る環境が維持・整備されています。そして,この素晴らしい環境の中で,世界に誇れる独自性豊かな教育・研究活動が活発に展開されています。環境に優しい行動が日常的に行われ,キャンパス内に足を一歩踏み入れた瞬間から,環境の文化の匂いを感じられるキャンパスづくりを進めていきたいと思います。
現代社会は,人工知能,IoT IoTとは「Internet of Things」の略で,日本語では「モノのインターネット」と訳されている。現実世界の物理的なモノに通信機能を搭載して,インターネットに接続・連携させる技術のこと。,ビッグデータやロボティクスの急速な発達と普及により,今まで経験したことのないスピードでパラダイムシフトが進んでいます。環境分野においても,挑戦的で革新的な思考と新たな取り組みが必要とされているように感じます。三重大学では,自然豊かなキャンパス環境を持続すると共に,先端的な科学技術を取り入れた未来志向のキャンパスへの発展・進化にも努力していきたいと考えています。
三重大学上浜キャンパス(H29.05.18)