三重大学 環境・SDGs報告書2021

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

環境・SDGs座談会2021(学生の環境活動)

  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

環境活動の紹介(学生)


雰囲気をガラッと変えて,学生たちの環境・SDGsの活動について聞きましょう。環境ISO学生委員会の活動からお願いします。

土井

環境ISO学生委員会では、様々な分野に対して幅広く活動をしています。組織をまとめる執行部や、地域連携部では海岸清掃を外部のNPOや自治体や企業などと協力して行っています。後は広報部としてSNS のTwitterを学生委員会として開設しているので更新をしたり、また、イベント企画部を今年(2021年度)新設しまして、そちらでは外部の環境イベントに出展する際に様々な企画と準備を担当していきます。その他の部には緑化を担当する緑化班、3R活動を主に行っている3R班、学内の放置自転車の削減に向けて活動を行っている自転車班の、7つのグループに分けて活動を行っております。7つの部班が舵取りを担当するものの、活動全体は委員会生みんなで協力して行っています。

及川

環境ISO学生委員会の活動は、例えば研究という視点で、これまでの活動成果を分析して成果をまとめたりしたことはありませんか。学生だからできることを、是非とも考えてみてください。

土井

三重大学の環境ISO学生委員会が行っている取り組みとして、かなり珍しいというか、独自の取り組みの町屋海岸清掃とリユースプラザの2つの取り組みを紹介させていただきます。まず町屋海岸清掃についてですが、こちらの町屋海岸清掃っていうのは三重大学近くの町屋海岸で平成の中頃には不法投棄が深刻化したという問題がありました。その頃の不法投棄されたごみを見ると、どうやら大学生が不法投棄をしてるんじゃないかというような話がありました。そこで、私たち大学生の環境ISO学生委員会が主体となって環境活動、海岸清掃を行う話が持ち上がりました。その時に協力いただいたのが地元のNPO法人町屋百人衆の方々です。みんなが裸足で安心して走れるような、そんな町屋海岸にしようと言う事をスローガンに掲げて町屋海岸清掃が平成18年度から開催されました。どうしてもごみが多いと裸足で走るのは危ないと思うのですが、地元の方々と協力して裸足で走れる町屋海岸を目指し、年に5回の清掃活動を実施して、昨年はコロナ禍の影響で年に5回はできなかったのですが、例年は年に5回、1月を除く奇数月に町屋海岸清掃を開催していました。参加者は、委員会生や町屋百人衆の方々だけではなくって、地域の方々や県内企業の方も繰り返し参加していただいているのですが、仕事が休みの日に参加していただき、本当にありがたいと思っています。

及川

町屋海岸も綺麗になっているよ。海からごみが来るっていうわけではなくて、陸から捨てちゃうっていうことですよね。

土井

捨てることは確かに減ったのですが、やっぱり夏になってくるとバーベキューの跡が、そのまま残っていたりとか、台風の時期はやっぱり海からのごみが非常に多い印象です。

伊藤

プラスチックの問題もあるしね。

そうです。今はどちらかというとマイクロプラスチックの問題になります。実は、国立大学で、海が一番近いのは三重大学でして、距離にして400mくらい。だから素足で歩ける町屋海岸にしたいというのは、土井さんの先代の環境ISO学生委員会の皆さんがキャッチフレーズにしていましたが、かなり素足で歩けるようになったのかな。まだかな?町屋海岸清掃は、初期の環境ISO学生委員会から続く活動で、活動当初から比べると、とてもきれいになってきています。これからも頑張ってください。

土井

次に、リユースプラザの活動についても紹介します。この活動も町屋海岸に不法投棄されていたごみの話につながってくるのですが、町屋海岸に放棄されるものの中に、家電も結構不法投棄されるということがあって、もしかしたら卒業生が不法投棄しているかも知れないという話がありました。家電の不法投棄を減らせないかと考えて、卒業する学生からいらなくなった家電を回収して、「こういう家電が欲しいです」と言う新入生や留学生に対して情報を提示して、家電の無料譲渡を実施するようにしております。このリユースプラザの活動に関しては、他の大学からも同様の活動をしたいと言う問い合わせもあって、やり方など説明をさせていただいております。今年はコロナ禍の影響だと思いますが、特に留学生からの譲渡、留学生からの依頼が多かったかなぁと印象を受けています。

環境ISO学生委員会を中心として他のクラブにも声を掛けていただいて一緒に活動していくようなムーブメントも作って欲しいと思います。
次に、自然環境リテラシークラブについて、よろしくお願いいたします。

長谷川

自然環境リテラシークラブは、自然の中で私たちがどのように共生していくかを一緒に体験して学ぶサークルです。例えば、南伊勢町の五ヶ所湾から少し出た外海では、1人でも2人で乗れるカヤックに乗って3m位の波の中を漕いで行くようなこともしています。私たちのサークルの特徴としては、生物資源学部の実習である自然環境リテラシー学の実習を学んだ学生が、サークルのメンバーのほとんどを占めていて、実習では自然の中でどのように生き抜くか、また自然の脅威や災害時の対応など様々なことを幅広く学ぶことができる実習です。そこで学んだ学生が、実習が終わった後も活動をしたいということで発足したのが私たちのサークルです。また、もう一つのテーマが、学んだことを自分たちの中で自己消化するだけでなく、様々な人に伝える活動もしています。三重県総合博物館(MieMu)にて展示を行ったり、昨年度はコロナの関係もありオンラインでライブ配信をした人、自分たちが何を学んだか、どのようなことを感じたかを伝える活動をしています。もう一つ主な活動として、地元の方との触れ合う活動も行っています。三重県の地元の方に貢献したいと思い、様々な活動を行っています。

具体的に紹介できる活動はありますか。

長谷川

それでは、三重県の地元の方との活動のうち2つ紹介します。1つは先日、南伊勢町の南島東小学校でサマーキャンプの手伝いをさせていただきました。危機管理などを行い、安全に小学生と一緒にシーカヤックの体験をしてもらい、その後、キャンプファイヤーなど大学生と一緒に経験をする機会を持ちました。もう一つは、地域の資源を利用してその地域の資源をもとにしたツアーを開発する取り組みを行っています。紀北町の銚子川で、自転車のサイクリングツアー、それとテントサウナのツアーを合わせたアウトドアと地域をつなげる活動を行いました

伊藤

カヤックって、南伊勢町では、どれくらい陸から離れられるのですか?

長谷川

そうですね、先日の場所では、大体、2日で30kmくらい移動しました。

伊藤

いろんな自然をみたり、海岸を見たり?

長谷川

海岸沿いをずっと漕いで行く時もあれば、トイレとかお風呂とか何もない浜で1泊2日して、そこで、自然の中で活動をします。

伊藤

こういう体験を楽しみながらやれるっていうのはいいと思います。「仕事だ~」とか、「これやっておかないといけないな」とね、続かないから。やっぱり、ちょっと遊び心もありながら、環境問題を勉強していくって、いいじゃないですか。

南伊勢町の海はまだ大丈夫ですか?ごみが浮かんでいるとか。

長谷川

南伊勢と尾鷲の方の海でも、よく漕いでいるのですが、そうですね、自然の藻の繁殖の状態とか、自然の環境問題とかも実際その中で体感する機会は多いです。

なるほど。やっぱり伊勢湾は、愛知とか三重から、いろいろなものが流れるけれども、南伊勢まで行くと太平洋側になるので、ちょっと別の流れでいくのかな。

伊藤

いろんなところの自然に出て行っている皆さんと一緒にやることによって、いろいろな範囲が広がることがあります。今日を機会に、なんか一つ、活動を広げていきたいと本当に思いました。カヤック面白いよね、多分。一度やりたいな。

長谷川

是非とも、いらしてください。

また、地元との触れ合いについても聞かせてください。

伊藤

我々が考えている以上に皆さんの方が鋭い見方があると思うし、これからを作っていくっていう使命なのでしょうね。非常に感心しました。
環境という切り口では、これから三重大学は、地球温暖化対策としてカーボンニュートラルも視野に入れた取り組みをしていきます。
2050年には技術革新も重要だと思うのだけど、我々が何かやらなければならないことを考える。いきなり大きく転換できるわけではなくて、周りから、そしてできることからやっていきながら、自分たちのマインドもちゃんと変えていかなくてはいけません。例えば無駄遣いしないとか。不要なものは買わない、使わない、作らないとか。そういう考えが大事じゃないですか。それに、技術革新が加わって初めて目指す環境ができると思います。今、東部長にも聞いたのですが、かなりエネルギーの消費も少なくて済む大学キャンパスになっているのですが、一歩も、二歩も先に進むには更なる改善が必要になって、お金を掛ければ、できるのでしょうが限度があるのですね。皆さんは、何かアイデアはないでしょうか。

三重大学がスマートキャンパスの事業を始める前は、ざっくりとしたデータですが、大学全体でCO2の排出量が年間2万5千tくらいでした。スマートキャンパス、それ以外でも様々な省エネ関係の対策を講じてきましたが、令和2年度のCO2排出量が2万トンを切るところまで来ました。カーボンニュートラルは、これをさらに2050年にはゼロにしたいという非常に高い目標となります。先ほど、伊藤学長が言われたように、技術革新を期待しながら推進していきますが、今のところは、若い人たちの活躍と知恵やアイデアに期待をしたいと思っています。

伊藤

大学という組織の活動の中にも、各個人が気をつけないといけないことってたくさんあると思います。余分にエネルギーを使わないことなどね。そういうことが大事ですよね。地球温暖化対策としてカーボンニュートラルに関するアイデアは、皆さんに意識して解決するアイデアを考えてもらいたいと思います。

続いて、学生と共に考えるSDGsに関するディスカッションを行いましょう。

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