3環境・SDGsコミュニケーション
附属学校の取り組み
附属幼稚園の取り組み
- 4 質の高い教育をみんなに
附属幼稚園では,幼児期から身の回りの環境に興味や関心を持ち,自分からかかわっていくことを通して自然に親しみを感じ,自然を大切にする気持ち,命を大切にする心を育むことが大切であると考え,自然を十分に感じられるよう園庭環境を整えています。自然物を活かした遊び,四季折々の良さが感じられるような遊び,野菜の栽培,生き物の飼育などの直接体験を通して環境教育につながっていく取り組みを行っています。
豊かな自然の中で夢中になって遊び,さまざまなことを感じ,気づき,試すことを繰り返すことを通して好奇心・探究心・思考力・表現力等が養われ,小学校以降の学習の土台となる力が育まれることが期待されます。
< 自然の中に身を置き,思い切り遊ぶことを通して学ぶ >
幼稚園には48種類,100本あまりの樹木があり,草場もたくさんあります。四季折々の姿を呈する園庭の自然に刺激を受け,子どもたちも季節に応じた遊びを展開します。シロツメクサやカラスノエンドウなどを使って遊んだり,どんぐりや落ち葉,霜柱を見つけて遊びに使ったりします。草花の生長を間近に見たり,五感を使って四季の移り変わりを感じて遊んだりする中から,身の回りの環境への気づきが引き出されて行きます。
豊かな自然のある園庭で遊ぶ(R2.5)
落ち葉で遊ぶ(R2.11)
< 自然の営みを知り,命の循環を感じる >
各クラスの前には畑があり,夏にはトマトやピーマン,ナスなどの夏野菜を,冬には大根やホウレンソウ,にんじんなどを育てています。水やりや草抜きなどの世話をし,野菜の生長を間近に見ることを通して感じる不思議さや面白さを大切にし,興味関心がより一層もてるようにしています。自分たちで育て,収穫し,食べるという一連の活動を大切にすると共に,花から実,種と変化していく植物の様子をよく見られるように環境を工夫したり,飼育しているウサギのえさにしたりするなど,命の循環を身近に感じられるようにしています。ウサギは年長児が毎日世話をし,様子をよく見て可愛がったり,話しかけたりするなどのことを通して命の大切さを感じています。またウサギのフンを取り出し,つぶして土に埋め,土の栄養にする取り組みも始めています。
野菜を育てる(R3.6)
育てた野菜を食べる(R3.7)
野菜の種を取る(R3.6)
育てた野菜をウサギのえさにする(R3.6)
ウサギのフンを取り出し,つぶす(R3.6)
フンを土の栄養にする(R3.6)
附属小学校の取り組み
- 4 質の高い教育をみんなに
小学校では,今年度は4年生の社会科,5年生の家庭科,給食委員会の全校での取り組みを中心に,環境にかかわる学習を1年間かけて進めていく予定です。
< 4年生の実践 >
1学期は,社会科で「くらしをささえる水 ~津市で使う水道水を調査する」という単元を設定し,附属小学校が使用する水道水を供給している片田浄水場を題材として取り上げ,学習を進めてきました。
子どもたちは「自分の家はどのくらいの水を使っているのか」,「自分が使う水はどこからきているのか」などと疑問をもち,自分の家の水道メーターや「ご使用水量のお知らせ」,浄水場・水道局などへの聞き取りを積極的に行い,つかんだ事実や資料を基に各自が考えをつくり,主体的な話し合いを行っていきました。学習を進めていく中で暮らしを支える水道水に対して,理解を深めることができました。
4年生の実践(社会科)①(R3.6)
〇学習を終えて
子どもたちは,津市の水道事業を多角的に捉えたうえで,自分たちの水道水の使い方について見直すことができました。今年度は,新型コロナウイルス感染症等,さまざまな理由から片田浄水場の見学・調査ができませんでしたが,360°カメラや津市e-learningポータルを活用して片田浄水場の施設の様子や従事している人からの聞き取りを映像資料化し,学校内外での視聴を可能にしました。また,教室掲示を充実させたり,子どもの調べてきたことや個々の考え・疑問を共有させたりしながら学習を進めてきました。これからも,子どもが主体的に追究し続けるような学習となるように取り組んでいきます。
360°カメラ
2学期は社会科で,「ごみの活用としまつ」という単元でごみについて学習していきます。ごみの学習を通して,子どもたちが自分事と捉え,自分たちの生活環境をよくするために自分にできることを実践していく姿を期待しています。
< 5年生の実践 >
5年生では,家庭科で持続可能な社会の構築につながる生活を主体的に考え実践する授業として,調理実習の様子を環境への配慮の視点で振り返り,環境に配慮した調理の工夫や,家庭での実践できる取り組みを考えることをねらいとして,学習を進めてきました。
食べ物が作られ,自分たちの口に入るまでにたくさんのエネルギーが消費されています。エネルギー消費に伴って,発生するCO2が増加し,温暖化が進行することから,わたしたちの食生活は地球環境とかかわっています。そこで,環境に配慮しながら買い物,調理,食事,片付けを進めていけるように取り組みました。
調理実習後,調理をするときにできる環境のための工夫について調べ,「水問題」・「ごみ問題」・「エネルギー問題」といった観点から自分たちの実習における問題点をあげ,その改善方法について話し合いました。
5年生の実践(家庭科)①(R3.7)
5年生の実践(家庭科)②(R3.7)
〇学習を終えて
本題材では,10月に予定しているキャンプでの調理を想定して,環境に配慮した工夫を考えたため,実際に自分が調理するときはどうするのかと考える姿が見られました。また,それぞれの生活経験を振り返り,交流する姿も見られました。ここで考えたことをこれからの調理実習や家庭での調理で実践していくことが大切だと考えます。引き続き,調理実習や家庭での実践で自分ができた工夫を交流し,より環境に配慮した調理の仕方について実践し続ける姿を目指していきたいと思います。
< 給食委員会の実践 >
給食委員会では,1学期に給食の残食を減らすための取り組みを行いました。実施期間の間,毎日給食委員会が,各クラスの給食の残食の量をチェックし,表に書き込んでいきました。また,ポスターを掲示したり,全校集会で残食を減らすように呼びかけたりするなどの取り組みを進めていきました。
附属中学校の取り組み
- 4 質の高い教育をみんなに
附属中学校では,総合的な学習の時間に探求学習STEP(Save The Earth Projectsの略称)に取り組むことで,教科横断的な探求学習活動に力を入れています。
生徒たちはSDGsの17の目標を達成するために,学級・学年を超えてグループを組み,自分たちの取り組みを地域社会,世界へ発信していくために研究を進めています。
SDGs13番「気候変動に具体的な対策を」を切り口に,貧困問題や再生可能エネルギー,海洋マイクロプラスチックなど,生徒たちの研究内容は多岐に渡っています。三重大学の先生方をはじめ,各専門家,行政の担当者,SDGsに取り組む近隣の企業にもお世話になりながら,地球規模の環境問題を自分事として捉え,自分たちなりの解決策を発信していくために活動しています。最終的には学校公開デーにて,生徒たちが自分たちの研究成果・経過を発表する機会を設けています。
牛乳パックを回収し,座イスにリサイクルしたグループ
制作した2脚の座イスは附属幼稚園にプレゼントしました。
令和2年度1学期のSTEPは,「with コロナの新しい学校生活様式について考える」ところから活動を再開しました。新しい学校生活様式について改めて振り返り,実現可能なものは学校内外に広げていこうという取り組みです。学級内でグループを編成し,学級の代表となったグループはリモートでの発表を行いました。
3年生発表資料作りの様子
2学期には,現2・3年生で横断的に編成された新たな32の班が研究を始めました。それぞれの班は新型コロナウイルスの影響により,主にインターネットソースを駆使して研究を進めていきましたが,校外学習や外部とのつながりで研究を深めることができませんでした。そうして迎えた3学期の中間発表会は,一般公開は叶いませんでしたが,規模を縮小した校内での発表会を行いました。
令和3年度になり,新型コロナウイルスの影響が一旦落ち着きを見せていた1学期には,STEP32班が実地調査で津市内の海岸に行き,マイクロプラスティックの採集と海岸清掃を行い,別の班は,海藻やわかめがCO2を減らす生態について詳しく知るため鳥羽市にある水産研究所を訪問しました。現在の三重県の藻場の消失がなぜ起こっているのかなど,現場の漁師さんなどから相談を受けている水産研究所の方から直接伺いました。三重大学の先生方,行政・企業から講師の方をお招きしたことで,再び研究を深めることができました。また,オンラインミーティングを実現させることで,県外の企業ともつながりを持つことができるようになりました。
SDGsに取り組む企業の方との打ち合わせの様子
附属小・中学校栄養教諭 大渕先生との面談の様子
リモートで県外企業の担当者と交流をする様子
緊急事態宣言が発令される中で開始となった2学期,活動に多くの制限があり,STEPを進めていくことが難しい現状ではありますが,オンライン等を活用することで生徒たちは最終発表会に向けて研究を継続しています。
附属特別支援学校の取り組み
- 4 質の高い教育をみんなに
- 12
中学部では,高等部卒業後の就労に向けて週4時間の作業学習に取り組んでいます。中学部ではミシンを使ってマスクや小物入れを作ったり,紙を貼り合わせてペーパーボックスを作ったりしています。
作業学習では,作業の技能を習得することと共に与えられた役割を果たすこと,できたことや困ったことを報告すること,作業を通して達成感を味わうことなどを目的に取り組んでいます。
ペーパーボックス(R2.2.7)
ペーパーボックス作りでは,要らなくなった包装紙を集めて作業に取り組んでいます。紙の質や模様などを選び細かくちぎって作業の準備をすすめます。使い終わった包装紙を使うことで,リサイクルや材料費の削減にもつながっています。
ミシンを使っての作業では,着用しなくなったジーンズを職員が持ち寄り,再利用して小物入れを作っています。デニムを切り,ミシンで縫って完成させていきます。子どもたちも小物入れがかっこよく仕上がっていく様子を楽しみながら作業をすすめています。
ミシンでの作業では,小物入れ,マスク,ポーチなどの製品づくりをしています。そこで余った布地を活用してくるみボタンやクリップの材料に使用しています。作業するメンバーが違っても教員が連携して作業内容を考え,使用する材料を無駄なく使用することで学校から排出するごみの削減にもつながっています。
ジーンズボックス(R2.10.16)
クリップ(R2.10.16)
子どもたちは,自分たちが作った製品を参観等の機会に販売し,買ってくれた方が喜んでくれている姿を見ることで作業の意欲にもつながっています。
作業を通して子どもたちが働く喜びを感じると共に自分たちがみんなの役になっているという自尊感情も育てていけるように取り組みを続けていきたいと思います。
作業の様子(R2.7.9)
作業の様子(R2.12.1)
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