編集後記 三重大学環境報告書2020の作成にあたって

 三重大学はイギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE) 」が本年4月22日に発表した「THE大学インパクトランキング2020」のSDG4(質の高い教育をみんなに)において,国内ランク1位タイを獲得しました。これは昨年のSDG12(つくる責任つかう責任)の日本国内ランク1位に続く2年連続の快挙です。PBLPloblem-Based Learningの頭文字からPBLといいますが,各々の課題に対して,学生が小グループに分かれ,主体的にプロジェクトを遂行する力をつけることを目的とした教育方法のことです。 などのアクティブラーニングに積極的に取り組んできた本学の成果が認められたものと思います。さらにいくつかのゴールにおいて国内トップ10大学にランクインしておりますので,詳しくは第2章の特集1をご参照ください。

 また,本学は平成23年度から学生と教職員による自主的環境活動の取り組みを見える化して行動を評価する「MIEUポイント」という取り組みが対象となり,公益財団法人日本環境協会の「エコマークアワード2019」を受賞致しました。平成22年度に創設されたこの制度ですが,過去10年間,主に企業や自治体が受賞を受ける中,大学として初めての受賞でした。さらに昨年度,環境省と一般社団法人地球・人間環境フォーラムが主催する環境コミュニケーション大賞「環境報告書部門」環境配慮促進法特定事業者賞(優秀賞)を受賞しました。7年連続11回目の受賞でした。これらの詳細につきましても第2章の特集3に掲載しておりますので,ご覧ください。

 さて,今回お届けする環境報告書2020は昨年度に引き続き,フルバージョンをウェブ版,ダイジェスト版を印刷物としました。これも本学が進めるペーパーレス化の一環です。さらに,ウェブ版・ダイジェスト版ともに,各章の項目ごとに関連するSDGsのアイコンを付与し,各ゴールとの関連性を示しています。

 第2章の特集では本年9月10日に行った環境座談会「三重大学と学生の『新しい生活様式』を考える」を取り上げました。コロナ禍の厳しい状況の中,本学は感染防止のために前期の講義を全てオンラインとしたため,この座談会もオンラインと対面のハイブリッドとし,環境ISO学生委員会の現部長と次期部長にはオンラインで参加して頂きました。座談会では現在行われている遠隔授業や学生生活,そして今後の社会の在り方などについて充実した討論を行い,その模様をこの章に記録しました。さらに,SDG4国内ランク1位を記念して教職員全員に配付した「SDGsカラーホイールバッジ」とそれとともに課したe-ラーニングコンピュータやインターネットなどの情報技術を活用して行われる,学習,教育の総称です。ネットワークを利用して配信することで,遠隔地でも学習が可能であり,教材の内容も最新版が提供しやすい利点があります システムを用いた「SDGs研修」や大学構内に設定された散策コースである「三重大トリムトレイル」についてもこの章で紹介しています。 

 第3章は環境ISO学生委員会が中心となって行っている「3R活動Reduce(廃棄物の発生抑制),Reuse(再使用),Recycle(再生利用)を指した活動のこと。
大量生産・消費・廃棄から,適正生産・消費・最小廃棄といったパラダイム転換が求められ,2001年には循環型社会形成推進基本法が施行され,2002年より,毎年10月を「3R推進月間」と定め,さまざまな普及啓発活動が行われている。
」,「緑化活動」,「広報活動」,「地域連携活動」について報告しています。中でも昨年度の環境座談会のテーマにもなった「3R活動」は古本市,放置自転車対策活動,リサイクルトレー回収など大変重要な活動です。「地域連携活動」はキャンパスに隣接する町屋海岸の清掃,松阪市の松名瀬海岸清掃,北立誠小学校への環境学習などで,地域の方々と学生との貴重な交流の場となっています。

 第4章では「省エネ積立金制度」によるエネルギー改善のための資金を調達する仕組みや学生・教職員の環境活動の見える化「MIEUポイント」,そして今回初めて行った省エネルギー活動を促すために印す「省エネピクトグラムのデザイン公募」について触れました。

 第5章と第6章はそれぞれ環境教育と環境研究です。特に第5章においては本年2月12日に開催された三重大学SDGsシンポジウム「サステナビリティ」を再発見する-三重の歴史的・文化的営みを通して-について報告しています。

 第7章の環境コミュニケーションは部・サークルおよび附属学校の環境活動について触れるとともに,2019年12月5日(木)~7日(土)東京ビッグサイトにて開催されたエコプロ2019に出展した様子を掲載しています。

 第8章は環境関連の取り組みと評価,第9章ではマネジメントシステムについて取り上げています。特に第9章の「情報の伝達・収集および共有の手段」のところでは,昨年度からウェブ上で公開しているこの「環境報告書」ばかりでなく,三重大学国際環境教育研究センターのウェブサイト,e-ラーニングシステムである三重大学Moodleインターネット上で,授業用のウェブページを作るためのソフト。
eラーニングなどの情報技術を用いて行う学習に用いられ,本学では公式のeラーニングシステムとして授業のためのグループウェア・コミュニティツールとして活用している。
,MIEUポイント専用サーバーなど本学のウェブシステムに加えて,電子メールシステムやメーリングリストなどを最大限に活用したマネジメントシステムの運用に触れています。なお,本学の電子メールシステムはBCP対策のため,本年度よりクラウドに移行しております。

 最後に,先日三重大学は内閣府設置の地方創生SDGs官民連携プラットフォームに参画しました。SDGsの国内実施の促進には地域との連携が不可欠ですが,本学は上浜キャンパスと三重県内の4つの地域に設置した地域拠点サテライトを通じ,学生および教職員が一体となって,今後とも地域の環境問題の解決に取り組んでいくことが重要であると考えます。

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