6環境研究
画像と映像の処理と健康や福祉への応用に関する研究
- 3 すべての人に健康と福祉を
- 4 質の高い教育をみんなに
- 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 10 人や国の不平等をなくそう
〈工学部〉鈴木 秀智(准教授)
近年,画像や映像を容易に取得し,収集できるようになり,それらのデータから多様な情報を抽出することで,人々に有用な情報やサービスを提供するための技術が開発されています。たとえば,スマートフォンの顔認証や画像検索,自動運転支援,画像診断支援,不良品や異常の検出,などです。
私共の研究室では,画像や動画の処理に関する研究を行っていて,聴覚障がい者の手話によるコミュニケーションの支援,医用画像診断の支援,画像中の物体の認識(ご存知のように,自動運転支援などに応用されている技術です),などへ応用する方法を開発しています。これらの研究が,人々の健康,福祉,安全な社会の実現に役立つことを願って研究を進めています。
ここでは,聴覚障がい者のコミュニケーションを支援するための研究について紹介します。
聴覚障がい者同士または聴者(健聴者)とのコミュニケーションには手話や筆談が使われます。コミュニケーションの速さなどを考えると手話が望ましいのですが,聴者で手話を使える人は多くありません。そこで,手話動作をリアルタイムでコンピュータ(スマートフォン)に取り込んで言葉に翻訳したり,その逆を行うことで双方の円滑な意思疎通を助けるための研究が以前から行われています。これが実現されると,海外旅行などでよく利用されている音声翻訳機のように,気軽に会話が楽しめるようになると思われます。
現状は,限られた手話に関する認識はかなりのレベルに達していて,実証試験も行われていますが,一般的な話題の会話になると認識対象が多くなりその精度は十分とはいえません。特に,固有名詞などを提示する指文字に関しては,指の形や動きなどを細かく調べないと精度の良い認識をできないので,認識精度を向上する方法の開発が求められています。私共の研究室でも,主に,指文字の認識に関する研究に取り組んでいて,最新の画像処理技術や認識技術を利用して,より認識精度高い方法を開発しています。