編集後記「三重大学環境・SDGs報告書2023」の作成にあたって

 「三重大学環境・SDGs報告書2023」は、本学の環境とSDGsの取り組みの充実を図り、なおかつ積極的に内外へ公表することを考え、令和3年度から従来の環境報告書から環境・SDGs報告書に名称を変更し、3年目になります。
 気候変動問題は現在では「地球危機」と形容され、私たち一人ひとりや地球上のあらゆる生物にとって回避できない喫緊の課題となっています。すでに世界中で地球温暖化による平均気温の上昇、雪氷の融解、海面水位の上昇といった現象が観測されており、日本でも平均気温の上昇、豪雨、台風などによる被害、農作物や生態系への影響が顕在化しています。
 地球温暖化の課題に対処するため、2015年にはパリ協定が採択され、世界各国が共通の目標を掲げました。具体的には、工業化以前の水準に比べて2℃を超えないよう気温上昇を抑え、できるだけ1.5℃以下を目指すこと、そして今世紀末までに温室効果ガスの排出と吸収を均衡させることなどが合意されました。この目標の実現に向けて、世界中で取り組みが進められており、120以上の国と地域が「2050年までにカーボンニュートラル」を目指すと宣言しています。
 こうした状況下で、地球温暖化に起因する気候危機に対処し、脱炭素社会・カーボンニュートラル社会の実現に貢献するために、本学は知の拠点として、また次世代の人材育成のプラットフォームとしての役割を果たし、これに基づき、環境・SDGsに関する報告書を公表致します。
 第1章は、本学の概要を掲載しています。
 第2章は、「特集」として、8月に開催された「環境座談会」(テーマ:ダイバーシティ&インクルージョンな視点に基づくCN社会に向けた取り組み)を掲載しています。学生を取り巻く環境は、脱炭素社会に向けたインフラやAI技術などにより大きく変わろうとしています。また、学生の仕事の選び方や企業が求める人材像も大きく変わることが予想されます。そうした時代の変化に対応し、環境や社会の課題解決に向け取り組むことができる人材の育成は、本学の大きな役割と考えます。今回の環境座談会では、教員、学生、留学生、企業の方々と地域とともに未来を拓く人材の輩出について、ダイバーシティ&インクルージョンの視点を踏まえ、議論しました。さらに、本学の活動、卒業生の活動、学生の活動、トピックスを掲載しています。
 第3章は、環境・SDGs学生プラットフォーム、教職員の社会貢献活動、地域連携活動、附属学校の活動、ユネスコスクールの活動を報告しています。
 第4章は、「サステナブル・スマートキャンパス」として本学のカーボンニュートラルに向けた取り組みを紹介しています。
 第5章は、「環境・SDGs教育」として、環境・SDGs関連の国際環境教育研究センター開講科目や全学共通教育センターの関連科目、環境インターンシップの実施を紹介しています。
 第6章は、「環境・SDGs研究」として、各学部・研究科の教職員の環境・SDGs関連の研究内容を掲載しています。
 第7章は、「環境関連の取り組みと評価」として、地球温暖化防止活動、実験排液の管理、環境課題へのリスク管理を報告しています。
 第8章は、「マネジメントシステム」として、ISO14001の更新審査や環境内部監査を掲載しています。
 第9章は、「第三者評価」として、本学と中部電力株式会社との相互評価内容を掲載しています。
 国際環境教育研究センターは、本学の環境・SDGs活動に関する総括だけでなく、常に、学内外、国内外のステークホルダーとのパートナーシップによって、本学の社会的責任を果たし、地域の共通価値の創造に貢献できる強力な機関として、さらなる前進を目指します。「三重大学環境・SDGs報告書2023」を、是非ともお読みいただき、忌憚のないご意見をいただけますよう、宜しくお願い申し上げます。

金子 聡 (kaneko satoshi)

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