環境・SDGs座談会2023(CN社会の実現に向けての取り組みについて)

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 13 気候変動に具体的な対策を
金子

最初に気候変動が経済や産業におよぼす影響を考え、次に大学と企業の取り組みについて情報を共有し、最後に学生のカーボンニュートラルへの関与について議論します。最近の授業ではクーラーの使用が頻繁に行われ、学習環境が快適になった一方、20年前の本学ではエアコンがない状況で授業が行われていたことを考えると、気温の上昇を実感しています。このように日常生活で気候変動の影響を感じる瞬間は何かありますか。

香川

7月~8月の通学時に外の暑さを感じることがあり、過去と比べて気温が上昇していると感じています。また、学校や大学の教育現場でもエアコンの設置が進んでおり、気温の上昇が設備にも影響を与えているという印象を持っています。

金子

気候変動に伴うCO₂の増加や温室効果により、特に暑さなど身の回りの環境に影響を感じるようになったと思います。

城田

最近、大学への通学時に日傘を使う人が増え、男性でも傘を利用する光景が目立つようになり、また、扇風機を持ち歩く人も増えていると感じています。普通に歩いて来られないほどの暑さを感じることがあります。

西岡

留学生2人に、それぞれの国での気候変動の認識や影響について聞きたいと思います。特に、気候変動に対する企業の評価は、暑さだけでなく雨や洪水の影響も考慮されています。ヨーロッパの留学生の意見を伺い、その地域での気候変動への認識や影響について知りたいと思います。

金子

最近、気候変動による洪水が多発しており、特に日本の九州地域でも局所的に激しい降雨が発生し大雨による被害が発生しています。ペトロフさん、ブルガリアの気候変動や異常気象について教えていただけますか。

ぺト
ロフ

子供の頃には12月から1月にかけてたくさんの雪が降り、友達と雪遊びを楽しんだ思い出があります。しかし、最近の12月や1月は雪がほとんど降らず、現在の子供たちは同じような雪遊びができない状況になっています。

金子

気候変動による環境の変化は経済や産業にも影響を与えていますか。

ぺト
ロフ

ブルガリアの経済は1990年代以降、大きな変化が見られておらず、気候変動が経済にどのような影響を与えているのかは明確ではありません。

金子

ありがとうございます。ララさん、ドイツでの影響があれば教えてください。

セーガ

気候変動に関連した出来事は、以前よりも発生していると感じており、その影響は田舎にもおよんでいます。雨不足による乾燥、森林火災、虫の増加などが森林保護活動に影響をおよぼし、森林の減少が進行しています。経済的な側面から見ると、気候変動対策としてカーボンニュートラルを実現するために、税金を導入する提案がされましたが、一部の地域では経済的な影響を懸念し、議論が行われています。

金子

気候変動への対策と経済的な調整が課題ということでしょうか。

セーガ

そうですね。気候変動の影響により環境保護が重要視されていますが、その地域は経済的に若干問題を抱えており、経済の側面でも配慮が必要です。カーボンニュートラルへの取り組みは環境保護と経済の両面から複雑な課題が存在しており、バランスを取る必要があります。

金子

そのことについて何かコメントはありますか。

速水

気候変動への対策として、脱炭素化には高いコストがかかり、エネルギー価格や電気料金の上昇につながります。日本は資源が限られており、脱炭素化に伴うエネルギーコストの上昇は企業誘致や産業の成長に悪影響をおよぼしかねません。半導体工場の誘致が注目され、北海道や熊本などの地域で進展しています。近年、三重県は災害が少なく、企業誘致に適しており、電力供給も確保されていますので、半導体生産の拡大により雇用や税収の増加、地域経済の発展が期待されています。一方、日本の高いエネルギーコストと脱炭素化の進展により、企業はエネルギーコストが低い他国を選択する傾向が増加しています。

金子

ありがとうございます。自動車産業の観点から、そのことについてどう考えますか。

竹林

最近の気候は非常に暑くなり、夜間の寝苦しさなど、異常気象の影響を身近で感じています。また、集中豪雨などの異常気象が増加しており、過去に比べて日本での台風の動きや発生頻度に変化が見られ、CO₂の排出が環境に深刻な影響をおよぼしていることは明らかです。これに対処するためにはカーボンニュートラルの取り組みが重要であると考えられます。自動車業界では、従来ガソリン車が走ることでCO₂排出が生じてきましたが、ヨーロッパを中心にドイツやフランス、イギリスなどが主導して、2030年から2040年を目標にしてEV(電気自動車)のみの販売を決定しました。これにより、ガソリン車による排出を削減しようという動きが進行中です。ただし、EVの製造過程でも実はガソリン車よりも多くのCO₂が排出されることが判明しており、EVの使用時には排出がゼロとなりますが、電気を生成する際には再びCO₂が排出されるため、この問題も考慮する必要があります。このような課題に対応するため、自動車業界はカーボンニュートラルを目指す取り組みを行っています。私たちの販売店は、車の製造は行いませんが、車の販売や店舗運営においても環境への配慮を行っています。具体的な取り組みとして、再生可能エネルギーを活用した電力供給に注力しています。太陽光発電や風力発電などを利用して、店舗の電力を賄っています。これにより、新たなコストがかかることもありますが、カーボンニュートラルを達成するために積極的に取り組んでいます。企業間でのカーボンニュートラルへの取り組みは、考え方の違いやコストの制約によって異なります。一部の企業は積極的にお金を投じてCO₂排出の削減を進めていますが、中にはコストの問題から完全に排出を避けることが難しいと感じる企業も存在します。税金などは全ての企業に影響を与える問題であり、政治家がこれを決定する役割を果たしています。政治家の判断は一人ひとりの声や意見を基に形成されるべきであり、環境問題についても個々の声が大切だと考えられます。

金子

ありがとうございます。学生の皆さん、電力、電気、自動車に関する質問はありますか。

鳥居

環境に配慮するためにお金をかけるか、CO₂排出を削減せずに進むかの選択において、どのくらいの差が出るのか気になります。

竹林

ヨーロッパ、日本、アメリカでは環境に対する意識が高く、積極的にカーボンニュートラルを推進し、環境保護を重要視しています。しかし、発展途上国などでは経済の発展を優先し、CO₂排出を削減することが難しいと考えられています。地球は共有資源で、一部が我慢しても他が無駄遣いすれば地球全体の状態は改善されません。このバランスを取るのは難しいが、環境に配慮する考えを普及させつつ、効果的かつコスト効率の良い仕組みを検討することが重要です。中部電力パワーグリッド株式会社も同じだと思いますが、車の開発と生産でも、数量が増えるほどコストが低下し、個々の車の価格が低くなることが通常のパターンです。例えば、100台以下の生産では高価になりますが、大量生産によりコストを削減し、価格を抑えられます。従って、環境に配慮した技術や製品を普及させるためには、数量を増やすことが不可欠です。ただし、どの程度実現できるかは状況や環境によって違うため、具体的なケースごとに異なる要素が影響します。人が環境をもっと意識するようになり、多くの人が参加すれば効果が増します。

鳥居

ありがとうございます。

金子

石井さん何かありますか。

石井

今の話とは全然違いますが、「カーボンニュートラル」は、排出されるCO₂と同等の量を吸収することを指します。そのまま現状を維持するだけでは気温や気候変動には影響をおよぼさない可能性があります。CO₂濃度を現状のまま維持するのではなく、減少させるという考え方は無いのでしょうか。

金子

現代社会ではエネルギー使用が多く、排出と森林吸収のバランスが崩れていることがあります。排出を減らすには緑化と吸収の増加が必要ですが、両方は難しい課題です。まずは、排出を増やさないように努力することが現実的なところだと思います。

西岡

それから、人口がすごく増えています。人口増加はエネルギー使用量を増加させる要因です。人間は残念ながら欲望が強く、これが増加をさらに促進しています。この問題を解決するには、相当な努力が必要で、技術だけでなく知恵も必要だと思います。

竹林

そこまで考えているのは、すごくすばらしいと思います。 エネルギー使用におけるCO₂排出をゼロにする取り組みが必要で、エネルギー使用におけるCO₂排出をゼロにすれば、植物の光合成によるCO₂吸収が増え、CO₂濃度の減少に寄与する可能性があると思います。車の販売業界は競争が激しいと思われているかもしれませんが、営業スタッフには毎月の売り上げ目標が設定されています。同じ営業スタッフでも目標を月3台と設定する場合と、月10台と設定する場合とでは、後者の方がより頑張りや努力をし、結果として目標を上回ることがあります。高い目標を設定し、その達成に向けて努力する姿勢が重要です。自動車業界も現在大きな変革の中にあり、特にEVに関する技術革新が注目されています。自動車業界では新しい技術、自動運転、EV化、シェアリングなど、多くの異なる事柄が注目されています。これらの変化が起きている中で、従来の方法やアプローチを継続するだけでは競争力を維持するのは難しいと考えています。その中でどのように変えていこうかと考えたとき、今までと同じ流れで考えるのではなく、新しい視点を取り入れて大きな変化を実現することが非常に重要です。発言が見当違いであっても、さまざまなアプローチからひらめきが生まれることがあるため、気にする必要はありません。

金子

確かに固定概念を減らすことは、脱炭素の達成に向けた新しい発想が生まれることもあり、すばらしいことだと思います。

西岡

私たちにとって日本の特色や知恵は当たり前すぎて、他の国の人には理解しづらいことがあると思います。ペトロフさんは武術に興味があって日本に来たということですが、環境やSDGsも含めて何に魅力を感じて日本に来ましたか。

ぺト
ロフ

私は、昔のことばかりに興味があって特に日本の神道と修験道という宗教に興味があります。日本の宗教に魅力を感じる理由は、古代ヨーロッパにも多神教が存在していましたが失われ、現代ヨーロッパ人はその世界観を理解できないためです。日本の神道、修験道、仏教などの世界観から多く学ぶことができます。日本の宗教は武士や武術、武士道にも影響を与えたため、私はできる限りの勉強をしています。また、日本の伝統的な世界観と文化について積極的に学びたいと思っています。

西岡

自然に対する考え方において、日本人とヨーロッパ人の根本的な違いは、自然と共生しようとする日本のアプローチと、ヨーロッパ的な考え方で自然をコントロールしようとするアプローチとの対立にあると思います。この違いが、環境に対する認識における限界を感じておられると思います。ここが環境問題を考える際に非常に重要なテーマです。SDGsは、日本から世界に向けて発信されるべき17の目標です。日本の古い価値観である自然との共生に焦点を当て、新たなアイデアを模索する必要があります。SDGsや環境問題に対処するだけでなく、日本がどのような発信を行えるかを再考する必要があると思います。
セーガさんに聞いてもいいですか。ドイツは環境への意識が高い国として世界的に評価されていますが、セーガさんから見た日本はどう映りますか。

セーガ

今住んでいる三重県では、田んぼや自然の美しさを楽しむことができます。山の奥に行けば、木々や自然がそのままの美しさで残っていることがあります。実は、私の国でも同様に自然を保護しようという意識が高く、その点で三重県と共通点があると感じています。私は特別な場所に住んでいて、自然保護地域やそうでない地域があります。自然保護地域の自然環境はそのまま保たれており、最近ではドイツでも自然保護に対する関心が高まっています。最近、ビーガンの人々や肉消費への懸念から肉の摂取を減らそうとする動きや、環境に配慮した行動として車や住宅にソーラーパネルを導入する法律が増えており、環境保護についての考え方が広まっています。ドイツでは、車が重く大きいことが問題視され、日本のような軽自動車への移行に関する議論が増加しています。この背景で、環境保護と産業の発展をどう両立させるかという議論も盛んに行われ、自然環境の保護と技術研究の両方を考える人々が増えています。環境への影響が懸念されているため、より一層の努力が必要だと感じています。日本の成功事例を参考にし、環境保護の重要性を強調し、ドイツ人にも同様の取り組みを促進したいと考えています。自転車で訪れた美しい場所を通じて、環境保護への意識を高め、共感を呼びかけたいとの思いがあります。

西岡

2人からこのような意見が聞けましたがいかがですか。

石井

「守る」と「残す」は大きな違いがあり、前者はコントロールや保護を意味し、後者は共生を強調する日本の考え方とは異なることが理解できました。共生を大切にするアプローチは、環境問題において重要であると感じられました。

西岡

日本のすばらしい資産をSDGsという単なる言葉や理念だけでなく、新たな発想を生み出す源として活用したいと、特に本学からの新しい発想が生まれるのを期待しています。
SDGsに受け身で対応するのではなく、日本の環境、自然、社会に対して、SDGs以外の重要な側面や概念も考慮しながら積極的に発信していくべきだと思います。今日、私たち日本人も含めて、異なる視点からの海外の意見を聞くことができて非常によい日だったと感じています。金子先生がおっしゃったように新しい気づきを得たり、プラスのアイデアを出し合ったり、異なる視点からの見方などをディスカッションできるとよいと思います。

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