環境マネジメントシステム(ISO14001)の更新審査

  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

 令和4年8月30日(火)から9月1日(木)の3日間、本学が運用している環境マネジメントシステムが、ISO14001の規格要求事項に適合しながら自ら定めた取り決めに従い有効に運用されているか、組織の方針・目標を達成する能力を有しているかを確認するため更新審査が行われました。

伊藤正明学長インタビューの様子(R4.9.1)

伊藤 正明学長インタビューの様子(R4.9.1)

 最高環境責任者である伊藤 正明学長のインタビューと、全ての部局(人文学部、教育学部、医学部、工学部、生物資源学部、地域イノベーション学研究科、監査チーム、企画総務部、財務部、学務部、施設部、研究・地域連携部、国際・情報部、環境ISO学生委員会、総括環境責任者、環境内部監査責任者、国際環境教育研究センター)を対象として、環境マネジメントシステムの運用状況の確認やサイトツアーなどが行われました。

更新審査日時
令和4年8月30日(火)~9月1日(木)
審査登録範囲
上浜キャンパス(附属病院を除く)における教育、研究および社会貢献活動業務運営
審査機関
SGSジャパン株式会社
審査目的
以下についてマネジメントシステムの適合を確認
  • 適用される法令、規制および契約上の要求事項を満たすことを確実にする能力
  • 組織が特定した目的を達成することを合理的に期待できることを確実にするための有効性および、該当する場合、潜在的な改善の領域を特定すること

更新審査の結果

 更新審査の結果では、環境マネジメントシステム展開などが有効に働いていることを確認され認証登録が継続されました。

サイトツアー(スマートキャンパス施設)の様子(R4.8.30)

サイトツアー(スマートキャンパス施設)の様子(R4.8.30)

Good point

肯定的観察事項(良かった点)

マネジメントシステム審査登録審査報告書の記載文面をそのまま掲載します。

1. EMSへSDGs の概念の組み込みを開始して2年目の展開として「環境・SDGsマネジメントマニュアル(18版)」を策定し活動されていました。環境影響評価、シラバス策定等からもSDGs との関係性のマッピングが確認されました。また、エコキャンパスカードやポスターにより学内に広く認識を持たせており、大変、有用・有効な活動となっていることを確認いたしました。これらの活動(EMSとSDGsの融合)は、先端的な取り組みとして特筆すべき活動として評価されます。(国際環境教育研究センター)

国際環境教育研究センターの審査(R4.8.30)

国際環境教育研究センターの審査(R4.8.30)

2. エネルギー削減の取組みにおいて、当初目標であった“エネルギー使用量6%削減”を2021年度に達成していることを確認いたしました。本年度、さらなる改善目標として、カーボンニュートラルを設定、2030年度51%削減見込み確定していること、以降の対応策についても検討推進していることも伺いました。本学のみならず、行政との協働も含め環境先進大学としての活動は、特筆に値します。(施設部)

施設部の審査(R4.8.30)

施設部の審査(R4.8.30)

3. 環境ISO学生委員会の活動内容について、3R班におけるエコキャップ・古紙・リリパック・インクトナー回収・古本市、放置自転車対策班による放置自転車回収・修理・譲渡活動、緑化班による屋上緑化・落葉コンポスト・花壇整備、地域連携部による海岸・干潟清掃活動、広報部、イベント企画部による内外部に対するコミュニケーション状況等活動内容の確認を致しました。活動結果についても想定以上の結果であり、且つ、その活動に対する学生の意識の高さについても感動を覚える程のものを感じました。委員会チームに対して特筆すべき活動として評価されます。また、環境先進大学としての人材育成の環境が確立できていることに対しても特筆に値致します。(環境ISO学生委員会)

環境ISO学生委員会の審査 (R4.8.31)

環境ISO学生委員会の審査 (R4.8.31)

4. 内部監査に関して、内部監査員登録状況および、内部監査実施方法・力量について確認を行いました。内部監査員に関しては、各部局 教員・職員、学生にて構成されており、内部監査員研修も定期的に実施する等計画的な展開をされていました。また、1回/年の内部監査に対して各監査員の力量バラツキを無くすため、年度毎にPOINTの設定、情報共有、チェックリスト見直しを行い、事前研修会を行うなど、教育の専門的なテクニックを駆使しての監査バラツキの対策を行っていました。この活動は、特筆に値します。(環境内部監査責任者)

観察事項

観察事項:是正につながる事項としてあげられ、推奨事項のことを言うが是正義務はない項目です。
マネジメントシステム審査登録審査報告書の記載文面をそのまま掲載します。

観察事項・改善の機会

1. 教育年間計画表及び教育実施報告書の確認において、「省エネ研修」や「環境マネジメント研修」等多岐にわたるプログラムを用意し、実行されていることを確認いたしました。教育結果として報告書内コメント欄にて総評はありますが、教育訓練の有効性、力量の証拠としての文書等教育記録の残し方に改善の余地があります。(8.1 国際環境教育研究センター)

不適合事項(マイナー)

不適合の内容(客観的証拠を含む)

1. 2022年度EMS年間計画書では、2021年度審査観察事項の是正処置として水銀使用製品の保管に関して目標設定し、全学に対し管理するように計画されていました。しかしながら、工学部産業廃棄物置場(置場として施錠管理あり、屋根なし箇所)において蛍光灯が、保管場所の設定なく、横倒しで無造作に置かれていました。一部は、すでに割れているものもあり、地面に直接置いているため、水銀使用製品の管理として土壌汚染、雨水排水経路への流出等懸念される状況でした。この現象は、本部管理棟産業廃棄物置場でも同様に確認されました。早急な対策が必要であること、及び、2022年度内部監査にて問題無しとなっていることなど(内部監査時は問題ないが、その後周知不徹底の可能性もあること)に対して是正が必要と思われます。合わせて水銀使用製品の保管場所に対する表示の明確化も是正必要です。

受審時のサイトツアーで指摘の確認・本部管理棟の産業廃棄物置場(R4.8.30)

受審時のサイトツアーで指摘の確認・本部管理棟の産業廃棄物置場(R4.8.30)

今回の審査で提起されたマイナー不適合への組織の対応

  • マイナー不適合に対する原因の分析を含む是正処置は、是正処置要求書に計画内容を記載の上、審査員のレビューを受けるため、審査終了日から14日以内に組織より審査員に送付されなければならない。処置内容の適切性が確認された場合は、次回予定されている審査においてフォローアップが行われる。
  • マイナー不適合に対する、原因の分析を含む是正処置は、その内容が是正処置要求書に明示され、審査員によりその適切性が確認されており、次回予定されている審査においてフォローアップが行われる。
  • 各不適合に対する適切な原因の分析が行われ、即時の是正/予防処置が講じられる。

不適合事項に対する本学の対応

本学では、審査終了後に速やかに、次の対応について報告をまとめ審査員に承認を得ました。

原因の分析と是正処置計画(計画された是正処置内容と予定される完了日を記載)

「類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性の調査結果」複数サイト組織の場合は他サイトの調査結果を含める。
現状(分析):水銀使用製品廃棄物の処理について(法律制定からの学内周知の取り組みまとめ)
・水銀による環境の汚染の防止に関する法律(施行:平成29年10月1日)と廃棄物処理法の改正

(2017年・学内対応)
・水銀使用製品産業廃棄物に関する新たに必要な措置をまとめて「(様式)MU-R-6.1.3-1 環境関連法規制適用条件一覧【A】及び環境関連法規制内容一覧【B】」作成、平成29年度にポイント整理

(2018年・学内対応)
2018年11月12日の「省エネおよび環境マネジメントシステム研修会」研修会で説明
・研修テーマ:「水銀使用製品廃棄物(蛍光管)の回収について」の説明(原則年3回程度で全学一斉回収)と周知
・研修会資料(PDF)を国際環境教育研究センターWebページ(学内限定)にて公開(公開継続中)

参考 研修会ポスターと環境内部監査員対象の研修で説明したスライド

2020年 ISOサーベイランス審査(オンライン審査)にて観察事項として水銀使用製品廃棄物の掲示版の指摘(医学部)

(2020年:指摘事項(観察事項)の対応)
・施設部施設環境チームから医学・病院管理部総務課担当者あてに、Eメールにて(件名:令和2年度ISO14001サーベイランス時の指摘事項について、内容:産業廃棄物の種類欄に「水銀使用製品産業廃棄物」と追記)を送信し、対応を確認(医学部は、蛍光管は産業廃棄物置場とは別の保管場所に変更)
・国際環境教育研究センター員会議(第5回:2020年10月7日開催)にて、ISO14001サーベイランス審査(9/28,9/28)について(観察事項)について報告(廃棄する蛍光管の保管処理(廃棄物保管場所には「水銀使用製品産業廃棄物」と明示すること))。その後、各部局のセンター員が教授会等で報告。

(2020年度(から)・学内対応)
・財務部契約チームから各部局担当者あてに、Eメールにて(件名:【照会】水銀廃棄物の回収について)を送信開始。水銀廃棄物(蛍光管、乾電池、体温計など)の回収日を決めて、回収を希望する部局は数量を事前に報告して処理をする運用にした。※ 直近の回収は、2022年6月30日に実施(メール連絡は、6月17日に財務部契約チームから送信)

2021年 ISOサーベイランス審査(オンライン審査)にて観察事項として蛍光管の保管状況の指摘(工学部)

(2021年:指摘事項(観察事項)の学内対応)
・施設部施設環境チームと工学部総務担当者と対応を相談し、工学部総務担当が産業廃棄物置場の片付けを行った。蛍光管は、産業廃棄物置場(向かって一番右の金網側)に「蛍光管(水銀使用製品)の置場所の掲示を実施」して転倒しないようにまとめる対策を確認した。
・国際環境教育研究センター員会議(第6回:2021年10月6日開催)にて、環境ISO14001サーベイランス審査の結果(観察事項)について報告(産業廃棄物置場の蛍光管の保管状態)。その後、各部局のセンター員が教授会等で報告。

(2021年・学内対応)
・2022年1月27日の「省エネおよび環境マネジメントシステム研修会」研修会で説明
・研修テーマ:「環境マネジメントシステム継続審査報告(水銀使用製品廃棄物の指摘等)」の説明と周知
・研修会資料(PDF)を国際環境教育研究センターのWebページ(学内限定)にて公開(公開継続中)
●対応について
・「事務局」の蛍光管に関しては、本部管理棟裏の廃棄物置場には保管・排出せずに、清掃業者を経由して、中央集積場で保管することに変更。排出の蛍光管は、蛍光管保管BOXを契約チームが設置して、蛍光管は必ず保管BOXに廃棄するように清掃業者に指導している。
・「各学部」の蛍光管の廃棄方法に関しては、これまで同様に部局に管理を一任している。

(2022年・学内対応)
・環境内部監査員対象研修会 2022年度7月の説明で、「令和4年定期監査の注意事項」として、『屋外で廃棄蛍光管を保管する場合は、破損防止策が適正に実施できているのか、もしくは、雨による腐食等を防ぐ工夫(廃棄物の屋外長期保管をしない)を講じているか』の確認をすることを環境内部監査員に周知した。

参考 環境内部監査員対象の研修で説明したスライド

・7月19日の実施をした工学部の環境内部監査では、産業廃棄物置場の管理状況を確認し、蛍光管の保管状況が良好であることを確認して、報告書にも「管理良好」とまとめた(環境内部監査時の写真記録あり)

更新審査(2022年8月30日)
・【不適合状況・施設部・財務部の審査】
本部管理棟裏の廃棄物置場(施錠あり)に、蛍光管が数本、排出されていた。(事務局では、廃棄物置場には排出はせずに、清掃業者を経由して、中央集積場で保管するという手順が守られていなかった)
・【不適合状況・工学部の審査】
工学部管理の産業廃棄物置場に、所定の蛍光管廃棄場所に蛍光管と他の廃棄物と混在状況であった。また、蛍光管保管場所とは別の一角には、破損した蛍光管の保管もあった。(工学部では、産業廃棄物置場に廃棄物を持ち込む教職員は、産業廃棄物置場の鍵を借りる際に、廃棄する物の名称を帳簿に記載するが、蛍光管の廃棄に関しては記載がなされていなかった)

現状分析(不適切な状況分析)の結果

  • 2018年と2021年度の2度の環境マネジメント研修会を利用した説明と、年3回の水銀使用製品の回収メール案内を実施してきたが、研修の効果とメール周知の効果が得られなかった。
  • 環境内部監査の実施の際には、事前に研修内容等の周知を行ったことで、受審側(被監査側)にも廃棄物置場の管理に意識が行き、内部監査時点では管理に問題が無いという結果になった。

「特定された原因」

  • 原因①:日常的に排出することの少ない「蛍光管」について、研修会では周知され、研修会では認識されていたが、蛍光管の廃棄の手順は定着できていないこと。
  • 原因②:廃棄物置場に廃棄製品を置きに行く際の記入帳票に、蛍光管の廃棄についての注意事項の周知(記載等)が無かったこと。
  • 原因③:廃棄物置場の鍵貸出の錠管理は各総務担当が実施しているが、産業廃棄物置場自体の管理者を明確にしていなかったこと。
  • 原因④:全学的に(国際環境教育研究センターが)、恒久的な啓発活動を行っていなかったこと。(フロン排出抑制法の順守のために実施される「業務用エアコン・冷凍庫・冷蔵庫の簡易点検」については、年4回、国際環境教育研究センター員会議を通じて、簡易点検の実施を呼掛けることで、日常的ではない空調機等の簡易点検が習慣化できている)

「修正処置」

  • 修正処置・本部管理棟裏の廃棄物置場
    8月30日(審査1日目)施設部長の指示により、本部管理棟裏の廃棄物置場にあった「蛍光管」を、中央集積場に移動して保管する修正処置をとった。
    (修正処置の有効性):9月2日(審査後日)に、本部管理棟裏の廃棄物置場を施設環境チームが現場を確認し、蛍光管の混在がないことを確認し、修正処置は有効。
  • 修正処置・工学部の産業廃棄物置場
    9月2日(審査後)工学部総務担当者に産業廃棄物置場の蛍光管保管場所とその周辺の整頓と、掲示版(水銀使用製品廃棄物(蛍光管))、廃棄物置場の鍵貸出時の帳票(貸出簿)の様式見直しに関して、修正依頼の連絡をした。
    (修正処置の有効性):9月8日(審査後1週間)に、工学部産業廃棄物置場を施設環境チームが現場を確認し、蛍光管の混在がないことを確認。「水銀使用製品廃棄物(蛍光管)」を明示した掲示板設置を確認。修正処置は有効。

「是正処置」

  • 是正処置①:蛍光管の廃棄の手順が、全て定着するまで、環境マネジメント研修会では「水銀使用製品の排出と方法」のテーマの説明を繰り返す。(研修会の対象は、センター員、ユニット環境責任者、環境担当者、その他構成員)←学内の水平展開も可能とする
  • 是正処置②:廃棄物処理法 施行規則第8条第1号イ、ロ に従い、保管する廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」の明記がなされているかを全学の廃棄物置場を確認して、必要な掲示が出来ていない部局には、直接、国際環境教育研究センター(事務・施設環境チーム)が修正の指示を出し、掲示が適切に修正されるまで修正の指示を繰り返す。掲示の状況の確認に関しては、定例の環境内部監査で実施するように「環境内部監査チェックリスト」に、確認の重要度を上げて記載することで、確認の漏れを防ぐ。←学内の水平展開も可能とする
  • 是正処置③:各部局が管理する産業廃棄物置場の鍵の貸出時に記入する帳票(貸出簿)に、蛍光管の排出する際の注意事項を明示して、蛍光管の排出(持ち込み)に関しても、帳票に記載するように様式を見直す指示をする。帳票記載の確認に関しては、定例の環境内部監査で実施するように「環境内部監査チェックリスト」に、鍵の貸出帳票(貸出簿)の記載内容の確認を追加することで、帳票(貸出簿)の適正な利用によって排出者が不明による蛍光管の混在を防ぐ。

是正処置の有効性の確認:本年度(2022年度)中に2回(11月と3月)は、全学部の産業廃棄物置場および、別に蛍光管の保管・管理する場所を、施設環境チーム員が現場の保管状況を確認し、蛍光管の保管・排出状況が好ましくない場合は、国際環境教育研究センター員会議で状況を報告し、適正な管理の状況に戻るように努める(責任:国際環境教育研究センター(事務・施設環境チーム))

「完了予定日」

  • 2023年3月上旬に実施予定の「2022年度 マネジメントレビュー:最高環境責任者の見直し」までに是正処置の全てを実施して是正処置の有効性も確認・評価する。
  • 是正処置は、その後も継続実施をする。

前回の審査所見への対応

「前回審査時の「一般観察事項及び改善の機会」は、全て適切に対応されていました。」と確認が行われました。

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