9第三者評価
第三者評価 中部電力株式会社
令和5年9月8日、中部電力株式会社から経営戦略本部CSR推進グループ、総務・広報・地域共生本部 環境グループ・地域共生三重グループから7名の方々に「三重大学環境・SDGs報告書2023」に対する意見を伺いました。本年度は、中部電力株式会社の方々を本学にお招きし意見交換を行う予定にしておりましたが、当日、台風が接近したこともあり対面での開催を見送り、オンラインのピアレビューによって相互の報告書を評価致しました。
「三重大学環境・SDGs報告書2023」に対する中部電力からの第三者意見
<全般事項>
表紙のデザインは、さまざまな地域の名所や登場人物などが描かれ、ターゲットとしている読み手に表紙を見ただけで貴学が伝えたいと思っている大学理念に謳われている地域共創が伝わる表紙だと思います。
学生が主体となって、地域の関係者と連携して実践的な教育をされ、環境・SDGsの取り組みを紹介されていることが全般的にすばらしいと感じました。
大学では教育と研究の2つが大きなミッションだと思います。講義以外に学生が自ら主体的に活動されていることや身に付けた成果を卒業後も地域社会の中で発揮していることが環境・SDGs報告書に現れており、非常にいい報告書だと思います。
各章の冒頭に、リード文等を記載するなど、この章で伝えたいことに関して、エッセンスを記述するなどすれば、読み手への訴求度が増す部分があると思います。
- 回答
- 各章の冒頭に、この章で伝えたいことに関して、エッセンスを記述することは来年度以降の課題として、今後検討致します。
<個別事項>
1.三重大学の概要
「あゆみ」では、三重大学の強みや主要な指標について時系列でグラフ化してはどうでしょうか。(例えば、学生数や職員数、海外学校との提携数など)時代の変化やニーズに対応していることを示すような見せ方への工夫により、本学が発展・進化してきていることが、より伝わると思います。
- 回答
- 本学の強みや主要な指標について時系列でグラフ化するなど見せ方を来年度以降の課題として、今後検討致します。
2.特集
環境・SDGs座談会2023や大学の活動など、学生、企業、自治体、海外の大学といったさまざまな方々との連携が書かれており、多様性のある内容ですばらしいと感じました。特に地域の企業と共同して教育を実施されている事例は、学生からすると貴重な体験機会、企業からすると学生へのPRの場となっており、双方にメリットのあるよい取り組みだと感じました。
卒業生の活動は、在学生からすると具体的な社会に出てからの貢献のイメージがついてよいと思います。自治体、企業、NPOと幅広い職種が紹介されて、多様性が分かりやすく示されていてよいと感じました。
卒業生の今の様子など学生たちのモチベーションアップにつながるよいページだと思います。これを見ることによってキャリアビジョンが描けると感じました。
「マレーシアのトレンガヌ大学へSciLetsプログラムの紹介」では、本ページ内にSciLets(サイレッツ)の説明がないので、「3章 環境・SDGsコミュニケーション」の当該ページのリンクを張ってはいかがでしょうか。
- 回答
- 「3.環境・SDGsコミュニケーション」の当該ページのリンクを張るように致します。
3.環境・SDGsコミュニケーション
「松名瀬干潟での海岸清掃活動および生物多様性学習」の内容が「三重大学環境・SDGs学生プラットフォームのESD-SDGsクラブ」と「地域連携活動」に記載があります。参加人数がそれぞれ約150人と約100人となっており、乖離がありますのでどちらの数字が正しいのかご確認いただければと思います。
- 回答
- 参加人数は約100人が正しいので修正致します。
『「第16回環境マネジメント全国学生大会」を開催』では、全国の学生を巻き込んで、三重宣言という方針の策定まで自主的に行う取り組みは学生にとって貴重な体験になると思いました。ただ会議を実施して終わりでなく、今後の活動に落とし込むところまで参加者に関与させており、体験を通した教育の機会となっている点がすばらしいと感じました。
4.サステナブル・スマートキャンパス
学生・教職員の環境活動の見える化「MIEUポイント」は、平成24年から実施され、10年以上前からの取り組みで、環境問題を自分のこととしながら取り組むことができる非常にすばらしい取り組みだと思います。このような活動やサービスは、初年度こそ注目されますが、10年という年月を継続的に続けて発展させていくために何か工夫されたことはありますでしょうか。
- 回答
- MIEUポイントを導入した当初は、よく活用されていましたが、年々したびになっています。従って、企業といろいろコラボして企業の商品に交換できるようにしました。また、最近では電子マネーなどがありますので、MIEUポイントを電子マネーに変えられないかなども検討しているところです。導入した時点から持続させて定着させるには、仕掛けや修正などが必要になってくると思いますので、本学でも模索中です。
学生・教職員の環境活動の見える化「MIEUポイント」のグラフを見ると、前2年に比べて令和4年が、かなり伸びたのはコロナウイルス感染症の制限が外れたことが大きいとの理解でよろしいでしょうか。また、グラフの年次が1年ずれていると思いますのでご確認をお願いします。
- 回答
- 令和2年~令和3年の2年間はコロナ禍で活動ができませんでしたが、令和4年はコロナ禍が明けて徐々に活動が増えたことが要因だと思います。
グラフの年次は2020年~2022年に修正致します。
「三重大学カーボンニュートラルに向けた取組計画」では、目標が定量的に示してあり、訴求性があって分かり易いと思いました。CO₂削減量の進捗があると、取り組みの進展が分かってよりよいと思います。
- 回答
- CO₂の削減量の進捗については、来年度以降の課題として、今後検討します。
5.環境・SDGs教育
環境内部監査員の養成(講義)では、環境内部監査自体を教育の機会として活用して、学生に実践を通して、環境・SDGsを学習させている事例は、教育機関の役割を踏まえた、非常にユニークな取り組みだと感じました。
6.環境・SDGs研究
全体を通して、一般の方や高校生の方々が読むことを念頭にしているのか、難しい専門知識の内容でも解説が非常に丁寧だと印象を受けました。その上で、研究はいつ頃されたものなのか記載があるとよいと思いました。新たな視点なのか、もしくは過去から蓄積されたものなのかを理解いただくことで、読み手の評価がより一層深まると思います。
- 回答
- 十数年行っている研究なのか短期的に行っている研究なのか非常に重要ですので時間的なところを来年以降、より分かりやすくしたいと思います。
GX(グリーントランスフォーメーション)を推進していくためには、既存の技術の応用だけでは実現することが難しく、新たなイノベーションの創出には大学のシーズが重要になってくると思います。その観点で、シーズとニーズのマッチングにつながるよいページだと思います。今後、さらに脱炭素に関するさまざまな研究をこのようなページで提示していただけるとよいと思います。
7.環境関連の取り組みと評価
特にステークホルダーエンゲージメントの状況ですが、三重大学においては、既にこのような取り組みが続けられており、最新のニーズを取り入れられて感度が高いと感服しています。特にステークホルダーの特定方法が明示され、ニーズを踏まえた対応まで記載されていることで読み手を意識した改善が図られている点がすばらしいと感じました。
「上浜キャンパス総エネルギー投入量」の項目に関して、都市ガス、A重油等の消費量に比べてスコープ1の量が多いような気がしますが、当方の思い違いでしょうか。(スコープ1 30,269t ⇔ 中部電力株式会社試算:10,627t程度)
- 回答
- 再度、本学で確認した結果、ガソリンと軽油の単位を間違って計算していたため、多い数量になっていました。スコープ1の量は10,458tに修正致します。
「環境負荷」の「上浜キャンパス水資源投入量」の「前年度比」が他の表の表記法と不揃いであると思いました。(他の表は前年度比(%)が「101.0」のような表記に対して、上記項目は「7.2」となっている)
- 回答
- 他の表の表記と統一し「107.2」に修正致します。
「グリーン購入・調達の方針と状況」の品目別の調達物量の年度推移の一覧表がありますが、もし品目別の調達率の目標があるのであれば、その達成率を追記すれば活動成果を示すことができるのではないかと思いました。
- 回答
- 令和4年度は、品目別の調達率の目標はありませんでした。令和5年度は、個別の特定調達物品など(環境物品などの調達の推進に関する基本方針の変更(令和5年2月24日閣議決定)に定める特定調達品目毎に判断の基準を満たすもの)の調達目標により、調達方針を定めています。達成率を活動成果として示すことは来年度以降の課題として、今後検討致します
8.マネジメントシステム
「最高環境責任者による見直しの記録」では、伊藤学長が最高環境責任者としてさまざまな取り組みに関与され、PDCAが回っていること、最高環境責任者の見直しの見える化が読み取れることはすばらしいと思います。下からの底上げで行っている活動と上から体制を固めてPDCAサイクルを回していることの両方が上手くバランスが取れていると思います。
当社は、ISO14001の外部認証まではとっていませんが、貴学は学生が主体となって外部認証をとっているのかという点で、何かご苦労などがありましたらお伺いしたいと思っています。
- 回答
- 学生には、環境活動に関与して環境に目を向けてもらうことがまず初めだと思います。今の学生は自分から進んで参加しないところがありますので、こちらから声がけして、活動を紹介するなど、きっかけ作りをして学生を引き込むことが重要になってくると思います。環境ISO学生委員会は、本学で唯一公的に認められた学生の活動機関になっています。そのようなところでも学生が本学の環境について、さまざま面で活躍していることが言えると思います。 本学がISO14001の認証をとるとき、実は学生が積極的に行動し、学生が主導して、認証を取ろうとした経緯があります。ここ2~3年はコロナウイルス感染症の関係で思うような活動はできませんでしたが、今年は規制が緩和されたこともあり、活動が盛んになってきており、環境ISO学生委員会に入って活動したいという学生が増えてきました。落ち葉を集めて堆肥を作り、土を豊かにする活動や放置自転車をただ単に回収するのではなく、乗れるようにした上で、留学生や新入生にリユースするなど学生目線から始まった活動もかなりあります。学生が学生として地域とつながることで、町屋海岸清掃を地域の人と一緒に行い、今では共同開催という形になっています。環境の全てをよくしたいジェネラリストから海岸清掃や堆肥作りなど1つのことに関して環境活動を行いたいスペシャリストまで数多くいます。今年は環境ISO学生委員会に新たに12名入りました。各学年10名程度いると大学としての環境活動が非常に豊かになります。コロナウイルス感染症の影響で3年ほど、特にコロナ禍の1年目が2名しか入らなかったこともあって、現在、回復途上にあります。環境ISO学生委員会の学生たちは、最初からモチベーションがありますが、それ以外の学生に環境マインドを少しでも持ってもらうために、環境活動を評価する形でインセンティブとしてMIEUポイントを導入しました。このような仕掛けもあり、本学では環境マインドを持った学生が育っています。それが学生時代だけでなく社会に出たときに、卒業生が本学で学んだ環境マインドを生かした活動をしているということです。在学中だけではなく広がりを見せているところが、本学の環境ISO学生委員会の活動が社会に出てからも貢献しているいい例だと思います。大学は、人を育てることが大事ですが、そういう意味で本学の環境の成果としては、一番だと自負しています。
「環境マネジメントシステム(ISO14001)の更新審査」では、不都合なマイナス面の評価もそのまま記載し、早急に対策が行われていることがPDCAの実例として認識できた点がよかったです。