用語解説
- SDGs(国連持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)
- 持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年9月の国連持続可能な開発サミットにおいて全会一致で採択された、2016年〜2030年までに発展途上国、新興国および先進国の全ての国、地域が取り組む国際的な目標である。SDGsは、「誰一人取り残さないーNo one will be left behind」を理念として、17の目標と169のターゲットからなる国際社会が持続可能な社会を実現するための重要な指針となり、行政・企業・教育機関・市民など全てのステークホルダーが連携するグローバル・パートナーシップが求められている。SDGsは、2000年9月のミレニアムサミットで採択された、2015年までに達成すべき目標となるミレニアム開発目標(MDGs;8のゴールと21のターゲット)の継承となるが、MDGsを超える領域・分野を網羅している。(図1)
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図1 国連持続可能な開発目標(SDGs)(出典:国際連合広報センターWebサイト)
- 日本では、平成28年5月に内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が設置され、平成28年12月に「SDGs実施ガイドライン」が施行されている。平成29年12月からは毎年「SDGsアクションプラン」を公表し、令和5年3月には「SDGsアクションプラン2023」を公表するなど、SDGsの取り組みが進められている。
三重県では、令和元年12月に「ミッションゼロ2050みえ〜脱炭素社会の実現を目指して」を宣言し、東海地域初の脱炭素社会宣言を行ったSDGs先進県となっている。また、令和3年11月からSDGsに取り組む企業や団体等を県が登録する制度「三重県SDGs推進パートナー登録制度」を開始している。
SDGsは、持続可能な開発の重要な要素として5つのP、「人間:People」、「地球:Planet」、「繁栄:Prosperity」、「平和:Peace」、「パートナーシップ:Partnership」を挙げている。SDGsは、持続可能な世界を実現するため、次の17の目標および169のターゲットから構成されている。(表1)
目標1 | 貧困をなくそう |
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目標2 | 飢餓をゼロに |
目標3 | すべての人に健康と福祉を |
目標4 | 質の高い教育をみんなに |
目標5 | ジェンダー平等を実現しよう |
目標6 | 安全な水とトイレを世界中に |
目標7 | エネルギーをみんなにそしてクリーンに |
目標8 | 働きがいも経済成長も |
目標9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう |
目標10 | 人や国の不平等をなくそう |
目標11 | 住み続けられるまちづくりを |
目標12 | つくる責任つかう責任 |
目標13 | 気候変動に具体的な対策を |
目標14 | 海の豊かさを守ろう |
目標15 | 陸の豊かさも守ろう |
目標16 | 平和と公正をすべての人に |
目標17 | パートナーシップで目標を達成しよう |
- BOD
- 生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)を表す略語・数値。
水中の有機物が細菌などの好気性微生物によって分解されるとき消費される酸素量を表したもので、値が大きいほど汚染されている。 - COD
- 化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand)を表す略語・数値。
水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもの。 - DX推進
- 組織内でデジタル技術を活用して、業務への取り組み方の改善を行う。
- ECOキーパー
- 省エネ活動をする本学内に設置した本学独自のメンバー名。
学内の消費エネルギー(主に電力使用量)が、一定水準を超過する前に、可能な限りの空調や照明、その他機器の電源をオフするなど電力消費を抑えるために活動するメンバーのこと。 - ESCO事業
- 省エネルギーのさまざまな施策・設備・維持・管理などのサービスを提供する事業の総称で、エナジー・サービス・カンパニーの略称。
ESCO事業者が施設の省エネ改修の費用を負担する代わりに、一定期間、改修で浮いた光熱費から経費と報酬を受け取る方式が主流で、施設保有者にとっては、改修のための費用を工面せずに省エネ設備に切替えられるメリットがある。 - ESD
- 持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)の略語。
現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally、 act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと。そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のこと。 - FIT制度
- 太陽光パネルなど再生可能エネルギーで発電した電気を業者が買い取ること。
- ISO14001
- 環境に関する国際規格の1つ。
国際規格(ISO:International Organization for Standardization)として1996年にISO14001規格が制定され、日本でもJIS Q14001として国内規格に採択された。2015年9月に改訂され、認証を維持するためには、3年半以内に改訂された規格での認証を受ける必要がある。 - JV-campus
- 文部科学省のSGU事業(スーパーグローバル大学創成支援事業)の一環として組織された新しいプラットフォームで、日本の国際教育・交流を促進するためにオンライン教育を活用する。環境・国際や日本文化関連のコンテンツを提供する本学は、環境・カーボンニュートラル英語教材を作成する専門部会において中心的な役割を果たしている。
- Moodle
- インターネット上で、授業用のWebサイトを作るためのソフト。
eラーニングなどの情報技術を用いて行う学習に用いられ、本学では公式のeラーニングシステムとして授業のためのグループウェア・コミュニティツールとして活用している。 - Low-Eペアガラス
- Low-E(Low Emissivity)ペアガラスはフロートガラス表面に特殊な金属膜がコーティングされており、紫外線や赤外線などの太陽光線をカットするのが特徴で、2枚のフロートガラス(板ガラス)の間に、熱伝導率の低い空気層を設け熱の伝導を抑える省エネ技術である。
- Nearly ZEB
- 高効率な設備の導入等による省エネ技術と、太陽光発電などの創エネ技術により、建物で使用する空調、照明等の年間一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した建物のことをZEB(Net Zero Energy Building)といい、省エネ技術による一次エネルギー消費量を50%以上の削減と、創エネ技術を加えて、75%以上を削減することを「Nearly ZEB」という。
- pH(水素イオン指数)
- 水素イオンの濃度(potential hydrogen)を表わす略語・数値。通常の場合は、水溶液中での値を指し、標準気圧・25℃の状態においてpH=7が中性で、pHが7よりも小さくなればなるほど酸性が強く、逆にpH が7よりも大きくなればなるほどアルカリ性が強くなる。
- PRTR法
- 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」のこと。
有害性が疑われる化学物質が、どこから、どのくらい、環境(大気・水域・土壌など)中へ排出されているか(排出量)、廃棄物などとして移動しているか(移動量)を把握し、集計・公表する。 - SS
- 浮遊物質(suspended solids)の略語で、水中に浮遊する粒径2mm以下の不溶解性物質の総称。
- VR・AR
- VR(virtual reality)とはコンピュータ上に人工的に創り出された仮想空間を疑似体験できる技術で、日本語では「仮想現実」と呼ばれている。AR(Augmented Reality)は、現実空間に他のCG画像を重ねるなど、まるで実在しているかのように現実世界を拡張する技術のことをいう。
- Zoom
- アメリカのZoom Video Communications社が提供するインターネットを通じてコミュニケーションも行うアプリケーション(ツール)です。遠隔地にいる複数人が、Webカメラや音声、チャットなどのコミュニケーションを行う、オンライン・ミーティングのツールの名称。
- インクルージョン
- 日本語では「包括」を意味する言葉ですが、大学では全ての構成員である学生、留学生、教職員のそれぞれの個性、考え方を認め合い十分に活かされて活動を行う状態を意味する。
- アドボカシー活動
- 一人ひとりが問題について知り、その原因について声をあげ、 解決のためにできることを訴えていくことをアドボカシーといい、この働きにより、政策を変え、不公正な社会を変えていく。
- エコキャップ
- ペットボトルのキャップのこと。
環境ISO学生委員会では、その売却利益をもとに発展途上国の子供向けワクチンを送る支援活動を目的に回収し、市内の業者へ譲渡している。 - エネルギーマネジメントシステム(EnMS)
- 本学ではICT(情報通信技術)を活用して、エネルギー使用状況をリアルタイムで把握・管理し、最適化するシステムのこと。
エネルギー需給状況を一元的に把握し、需要予測に基づいて設備機器の制御を行い、エネルギー使用量の最小化を図るシステム。 - 環境内部監査
- 組織の環境管理に関する活動に関して、環境・SDGs方針や環境目的などに合った活動をしているかどうかを、自ら確認する監査システムのこと。
- 環境負荷
- 環境に与えるマイナスの影響を指します。環境負荷には、人為的に発生するもの(廃棄物、公害、土地開発、戦争、人口増加など)と、自然的に発生するもの(気象、地震、火山など)がある。
- 環境マネジメントシステム(EMS)
- ISO14001規格では、「組織のマネジメントシステムの一部で、環境方針を策定し、実施し、環境側面を管理するために用いられるもの」と定義されている。
- グリーン購入法
- 「国などによる環境物品などの調達の推進などに関する法律」のこと。
循環型社会の形成のために、再生品などの需要と供給面の取り組みから、持続的発展が可能な社会の構築を推進することを目指す。 - コージェネレーション
- 熱と電力を効率よく供給するシステムのこと。本学では、発電時の排熱を附属病院の給湯や冷暖房などに利用している。
- コンポスト活動
- 落ち葉などの有機物を微生物や菌などの作用により発酵させ、堆肥に変える循環の仕組み。本学では学内の花壇および附属学校園、地元企業へ還元することで資源循環を促している。
- 国連アカデミック・インパクト(UN Academic Impact:UNAI)
- 国連広報局(DPI)のアウトリーチ部が担当するプログラム。
UNAIの対象は、学位を授与する全ての高等教育機関、またはそれに相当する実質的な研究を行っている機関。 - サステナブル
- 持続可能であるさま。特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについて言う。
- 三翠
- 本学の前身の1つである三重高等農林学校の校歌にある「空のみどり、樹のみどり、波のみどり」に由来しており、三重高等農林学校が創設された頃、海岸まで濃い緑の松林に囲まれた学校から望むことが出来る伊勢湾の景観を表したもの。
- スコープ(Scope)
- 温室効果ガス(GHG)排出量の算定範囲別(1、2、3)に定めた表記方法。
スコープ1:直接排出(ガスなど事業エリア内での排出)
スコープ2:間接排出(購入電力などによる排出)
スコープ3:そのほかの輩出(調達、輸送、廃棄などの事業エリア外での排出)
なお、本報告書ではスコープ3は表記していない。 - ステークホルダー(利害関係者)
- 活動に伴い利害の影響を受ける関係者のこと。大学の場合、教育・研究活動に伴い利害の影響を受けるのは学生であり、学生の保護者、地域の企業、行政などが上げられる。一般的な企業では、株主、経営者、従業員、顧客、取引先などになる。
- スマートキャンパス
- 全学的な本学の環境に配慮をした取り組みに関してスマートキャンパスと呼称している。本学は文理医系の全ての学部・研究科と附属病院が1つのキャンパスに集合していることをメリットと考え、全学で省エネおよびCO₂削減する取り組みのこと。
- 3R活動
- Reduce(廃棄物の発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)を指した活動のこと。
大量生産・消費・廃棄から、適正生産・消費・最小廃棄といったパラダイム転換が求められ、2001年には循環型社会形成推進基本法が施行され、2002年より、毎年10月を「3R推進月間」と定め、さまざまな普及啓発活動が行われている。 - デマンド警報メール
- 電力計測システム(EMS)より、予測した使用電力が契約電力を超えそうな時に、設定した警報値を超える前に送信される。送信先はユニット環境担当者とECOキーパー約200名。
- パワーコンディショナー
- 太陽光発電で発電した電力を、工場などで変換すること。
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む油などが付着もしくは封入された物で廃棄物となるもの。
PCBは難分解性で人の健康および生活環境に係る被害を生ずるおそれがあることから、PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物として取り扱わなければならない。「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」により、事業者が保管しているPCB廃棄物は、自ら処分または処分を他人に委託する必要がある。 - リスクアセスメント(Risk assessment)
- リスクは危険という意味と合わせて不確実性という意味もあり、アセスメントとは影響を評価するという意味。そのため「発生した場合のリスクを評価すること」や「確実ではない状況を評価すること」という意味で使用される。本年度の報告書の記事では、「化学物質等のリスクアセスメント」は、化学物質の使用により事故などが発生した場合の危険性と有害性を評価するという意味になる。
- リ・リパック
- 容器の表面に薄いフィルムを圧着し、リサイクルを容易にしたもの。
使用後に表面フィルムを剥離することにより、洗浄をせずにそのまま回収・リサイクルができ、ごみの量が通常の1/20程度となる。